田能村直入と近代京都の南画—自然のアンビエンス
2026.10.3(土) 〜 11.29(日)
明治29(1896)年12月、京都において日本南画協会の設立趣旨が公表され、田能村直入や富岡鉄斎をはじめ、京都を代表する南画家25名により、翌年正式に同協会が結成されました。協会は大会の開催や機関誌の刊行を通じて南画の普及に努め、やがて会員数は三千名を超え、全国へと広がる大きな組織へ発展していきました。
南画は、中国文化への憧れを背景に、江戸時代以降の日本で育まれた絵画のひとつです。山水や花鳥を主題とし、画家の心象を描く「写意」の精神を基調としています。俗世から距離を置き、自然の気配に身をゆだねるようにして描かれた作品には、「アンビエンス(空間の響き)」ともいうべき広がりが認められ、自然への深いまなざしが南画の精神性として一貫しています。
幕末から明治期の京都の美術界は「一時南宗画(南画)に拠つて代表されていた」とも言われ、「写生」を重んじる円山四条派の展開と並び立つ、もうひとつの「近代京都日本画史」を形づくりました。
令和8(2026)・令和9(2027)年には、日本南画協会の設立趣旨発表および結成から130年、さらに協会を牽引した田能村直入(1814〜1907)の没後120年を迎えます。本展では、京都府コレクションを中心に、直入の作品をはじめ、日本南画協会において重要な役割を果たした画家たちの作品や資料などを紹介し、近代京都において展開した南画の豊かな世界をご覧いただきます。
田能村直入《春日閑居》(田能村直入旧蔵『清人画帖』より)明治18(1885)年 京都府(京都文化博物館管理)
田能村直入《嵐山春景・滝野川秋景》明治17(1884)年 京都市美術館
田能村直入《松鶴遐齢図》明治21(1888)年 京都府(京都文化博物館管理)
谷口藹山《山水図》明治21(1888)年 京都府(京都文化博物館管理)
平尾竹霞《丹山僊館図》明治26(1893)年 京都府(京都文化博物館管理)
奥田天門(秋園)《清水雨餘・銀閣雪霽》明治28(1895)年 株式会社 古美術瀬戸
内海吉堂《百花花鳥図》明治29(1896)年 京都・本法寺
富岡鉄斎《懸崖蘭》明治42(1909)年 京都府(京都文化博物館管理)
『日本南画協会会報』第4集 明治32(1899)年 個人蔵