古社寺保存法の時代
2019.1.5(土) 〜 3.3(日)
明治時代に制定された古社寺保存法は、近現代の日本における文化財保護の礎となった法律です。幕末以来の動乱と社会変動、価値観の変化などにより、古くからの歴史を伝え守ってきた寺社や旧家が甚大な影響を受けたこの時代、それらが所蔵する貴重な品々もまた大きな危機に直面しました。そのような中、国の歴史を伝える資料や優れた古美術品を保護することは、近代国家として出発した日本の急務となり、多くの試行錯誤を経て、明治30年(1897)に古社寺保存法が成立します。以後、この法律は昭和4年(1929)に国宝保存法に発展解消されるまで施行され、現代まで連綿と続く我が国の文化財保護行政にとっての極めて重要な出発点となりました。
保全に膨大な労力や経費を必要とする文化財を、将来に確実に受け継いでいくためには、紡がれてきた歴史や文化への敬意、そして個人や組織の枠を超えた保護の仕組み作りが欠かせません。古社寺保存法の制定は、将来に守り伝えるべきものを確実に伝えるための、社会を挙げての体制作りの始まりです。そこでは、江戸時代以来成熟していた様々な学問や文化事業の経験が大いに生かされ、多くの寺社を抱える京都をはじめとする関西の人々がとりわけ大きな役割を果たしました。
法律の根底には、文化財をなぜ伝えるのか、誰が伝えるのか、どのように伝えるのかといった数多のゆゆしき問いがあり、それらは時代を経た今もなお本質的な課題であり続けています。本展示では、京都府に残る数々の行政文書や記録、当時の修理を受けた貴重な書画などをご覧いただきながら、近代という激動の時代を背景に生まれ出た日本の文化財保護のあゆみと、様々な社会的取り組みについて御紹介します。
明治30年に制定された古社寺保存法により、「歴史の証徴又は美術の模範となるべきもの」が国宝と定められ、国家が規制を設けるとともに、その維持や修理を補助する体制が出来上がりました。この仕組みは文化財保護法に継承され、現在の文化財保護の基礎となっていますが、長い歴史の中ではどのように評価されるものなのでしょうか。古代から現代に至るまで、日本の政権はどのようにして古い物と向き合い、管理をし、保護してきたのでしょうか。このシンポジウムは、様々なご専門の先生方をお招きし、各時代の政権と宝物の関係をお話いただくことで、文化財保護 の過去と現在を考えようとする企画です。
パネリスト:
家塚智子氏(宇治市源氏物語ミュージアム)
稲本泰生氏(京都大学)
土屋貴裕氏(東京国立博物館)
増記隆介氏(神戸大学)
ほか
※要申込み、参加費無料(ただし、総合展示室入場券[半券可]が必要です)
※ホームページからのお申込みは締切らせていただきました。
若干お席に余裕がございますので、ご希望の方は当日受付にお申し出ください。
⬛︎第1回「京都府の文化財保護」
明治時代から現代に至るまで、全国の先頭に立って文化財保護行政を推進、実践してきた京都府の、文化財に対する様々な取り組みやあゆみをご紹介します。
※ホームページからのお申込みは締切らせていただきました。
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⬛︎第2回「文化財修理の過去と現在」
古くから幾度も繰り返されてきた文化財の修理という営みについて、現代の修理の様子もご紹介しながら、その意味やかつての実情をふりかえります。
※ホームページからのお申込みは締切らせていただきました。
若干お席に余裕がございますので、ご希望の方は当日受付にお申し出ください。
⬛︎第3回「近代の博物館と京都」
近代という時代の中で生まれ、発達してきた博物館という施設のあゆみや、古の京都における博物館、文化財の展示事情の様々などについてご紹介します。
※要申込み、参加費無料(ただし、総合展示室入場券[半券可]が必要です)
※会場はいずれも本館3階フィルムシアター(定員160名)
※ホームページからのお申込みは締切らせていただきました。
若干お席に余裕がございますので、ご希望の方は当日受付にお申し出ください。