原安三郎コレクション 北斎×広重
2026.4.18(土) 〜 6.14(日)
葛飾北斎(1760〜1849)と歌川広重(1797〜1858)はそれぞれ〈冨嶽三十六景〉、〈東海道五拾三次之内〉といった名シリーズを手がけ、浮世絵における名所絵の可能性を大きく広げました。北斎は、大胆かつ独創的な構図によって自然の迫力と、その中に生きる人間をユーモラスに描いています。一方、広重は、穏やかな色彩感覚で季節の移り変わりや天候、そして人々の営みをあたたかな眼差しで表現しました。両者の作風は対照的でありながら、当時から多くの人々を惹きつけ、国内外に多大な影響を及ぼしました。
本展では、実業家・原安三郎(1884〜1982)氏が蒐集した名品約220件を公開します。原氏は、蜂須賀藩の普請方をつとめた家系に生まれ、父親は徳島特産の藍を扱っていました。氏の審美眼にかなった作品は、摺りの発色が鮮やかに保たれ、今日もなお当時の色彩を伝えています。さらに、特別出品される肉筆画では浮世絵師の筆技を間近にご覧いただけます。
歌川広重の〈冨士三十六景〉シリーズなど、本コレクションとして初公開の作品も数多く含まれます。名所絵の名品を一堂に会した貴重な機会を通して、北斎と広重が描いた江戸の豊かな世界をご堪能ください。
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京都文化博物館、公式オンラインチケット(etix)、ローソンチケット(Lコード:55945)、チケットぴあ(Pコード:687-401)、イープラス、セブンチケット(セブンコード:114-095)、CNプレイガイド、近鉄駅営業所ほか
前・後期の両方をご覧になりたい方等、2回観覧されたい方におすすめのおトクなチケット。2人で1枚ずつの使用も可能です。
葛飾北斎(1760〜1849)は、江戸の本所割下水に生まれ、数え19歳で浮世絵師の勝川春章に入門、90歳で世を去るまで絵師として活躍しました。最もよく知られているのは、70歳頃から刊行された錦絵の名所絵シリーズでしょう。原安三郎コレクションには、この絶頂期の主要な名所絵がほぼ網羅されています。〈冨嶽三十六景〉、〈諸国瀧廻り〉、〈雪月花〉、〈諸国名橋奇覧〉、〈千絵の海〉といった著名なシリーズが、「揃い」で所蔵されているのは極めて貴重です。
摺りがシャープで保存状態も良好な作品が多く、コレクションに対する原氏の並々ならぬ熱意がうかがわれます。本展では、上記の名所絵シリーズに加え、怪談をテーマとした〈百物語〉や富士を様々な角度から描いた絵本『富嶽百景』3冊をあわせて紹介します。
葛飾北斎《冨嶽三十六景 凱風快晴》
葛飾北斎《諸国瀧廻り 下野黒髪山きりふりの滝》
葛飾北斎《諸国名橋奇覧 足利行道山くものかけはし》
葛飾北斎《千絵の海 甲州火振》歌川広重(1797〜1858)は、江戸八代洲河岸の定火消同心の長男として生まれ、 数え15歳で浮世絵師の歌川豊広に入門。生涯にわたり名所絵シリーズを多く手がけ、第一人者として活躍しました。とりわけ有名なのは、出世作〈東海道五拾三次之 内〉(保永堂版)でしょう。
原安三郎コレクションには、広重の主要な名所絵シリーズの多くが「揃い」で所蔵されています。本展では〈東海道五拾三次之内〉(保永堂版)、〈京都名所之内〉、〈雪月花〉、〈冨士三十六景〉の4つのシリーズを揃って紹介します。
歌川広重《東海道五拾三次之内 日本橋 朝之景》
歌川広重《武陽金沢八勝夜景》
歌川広重《京都名所之内 あらし山満花》
歌川広重《東海道五拾三次之内 沼津 黄昏図》北斎と広重は、同じ風景でも、全く異なる構図で描くなど、完成作品には大きな違いがあることがしばしばあります。愛知県岡崎市の矢作川(やはぎがわ)に架かる矢作橋とその周辺の情景を描いた作品を対比してみましょう。
葛飾北斎《諸国名橋奇覧 東海道岡崎矢はきのはし》
歌川広重《東海道五拾三次之内 岡崎 矢矧之橋》橋を思い切り大きく描こうとした北斎と広重。完成作にはこれだけの違いがあります。現代では北斎の奇抜さが強く目を惹くかもしれません。広重はモチーフをできるだけ省略し、向こう岸に城を入れることで名所絵としての伝統を受け継いでもいます。同じ場所を描いた2人の作品をぜひ比べてお楽しみください。
原安三郎(1884〜1982)氏が蒐集した作品は、北斎や広重の錦絵だけに留まりません。コレクションには、浮世絵師たちが1点ずつ直筆で描いた肉筆浮世絵も多く含まれます。絵師の名前を概観すると、江戸初期から近代に至る体系的なコレクションであることが理解され、原氏の学究肌な一面もうかがえます。
本展では、画系的に北斎へとつながる宮川長春や勝川春章、広重へとつながる歌川豊春や豊広のほか、上方で活躍した月岡雪鼎による肉筆浮世絵を紹介します。
月岡雪鼎《野辺美人図》
歌川豊春《遊女と禿図》※作品はいずれも中外産業株式会社原安三郎コレクション
江戸時代にも用いられていた、日本古来の藍建て方法「天然灰汁発酵建て」による藍染めを体験していただきます。京都・伏見にて、タデアイの栽培からすくも造り、藍建て、藍染め、制作までを一貫して行っている西村尚門氏を講師にお迎えします。当日は手ぬぐいを染め上げていただきます。
※完成した手ぬぐいは、お持ち帰りいただけます。
葛飾北斎が用いた青い顔料は「北斎ブルー」とも呼ばれ、べロ藍による鮮やかな発色で知られています。 一方、北斎が著した『絵本彩色通』には、「藍蝋(あいろう)」という顔料の製法が記されています。本体験では、この製法を踏襲して顔料を作り、その藍を用いて和紙のしおりを制作します。
※完成したしおりは、お持ち帰りいただけます。
木版印刷の伝統技術を継承する摺師が、《富嶽三十六景 凱風快晴》の版木を使って、北斎が用いた藍蝋やべロ藍などの色の摺りを実演します。摺りの工程を通して、藍の発色の違いを見比べてみましょう。その後、実際に藍蝋を用いて、絵葉書に木版の摺りを体験いただきます。
※完成した絵葉書は、お持ち帰りいただけます。
※事前申込不要。参加費無料(ただし、当日の入場者に限ります)