会場:
2階総合展示室
袿は、宮中の女性に用いられてきた広袖仕立の衣服です。公家の装束は、古代の朝服を源流として平安時代に完成します。その後、時代とともに装束が簡略化されていく中で、女性の正装は、五衣唐衣裳、いわゆる「十二単」として、多少の変更が行われながらもひきつがれ、現代でも皇族の婚礼などの際の装束としてみられます。その一方で、日常着として、袴・単とともに袿を着用する「袿袴」が平安時代中頃から用いられるようになったといいます。袿袴は江戸時代になると礼装として用いられるようになり、1884(明治17)年には皇族および臣下の女性の礼装に制定されて、洋装とともに宮中で用いられるようになりました。
本展示では、京都府の収蔵品より、袿と関連資料をご紹介します。二陪織物や紗などの高度な織物の技術に支えられた、宮中の女性の服飾美の世界をお楽しみください。