ある画家による京都 西川純の素描
2022.10.15(土) 〜 12.11(日)
本展では、明治後期から昭和にかけて活躍した京都出身の洋画家・西川純(1886-1974)が描いた京都の街並みを紹介します。西川は、明治後期に鹿子木孟郎の室町画塾、浅井忠の聖護院洋画研究所、関西美術院に学び、多くの優れた素描を残しました。岡崎、銀閣寺道、白川村、浄土寺村などの風景を鉛筆で描き、当時の様子を今に伝えます。風景の他にも、浅井忠に指導を受けた人物デッサン、1903(明治36)年に開園した京都市動物園で見た動物の写生などがあり、明治後期の画塾でのデッサン技術の高さを物語っています。
昭和に入ると、西川は記憶を頼りに昔の京都の街並みを描き、「京の家々集」として、300点余りを残しました。京都の面影をよく表した作品は、人々の中に眠る懐かしい記憶を呼び起こします。
今回の展示では、初期の明治期のデッサンを中心に、水彩画、油彩画を含む、京都の風景にまつわる西川の画業の一端を紹介します。
ギャラリートーク
(「京都洋画新人展 1967-1975」展と同時開催)
日時:11 月 18 日(金)
午後 2 時から展示室内で行います。(30 分程度)
事前申込み不要、当日の入場者に限ります。
「浅井先生の指導の畧圖」との書き込みもあり、
関西美術院で浅井忠から教えを受けていた様子
をうかがうことができる。
同年5月5日に描いた馬のスケッチには、「松ヶ崎の農家にて」
とのメモ書きがある。
西川が通った関西美術院の裏手風景を描いたと思われる。
西川純が京の家々のスケッチを始めたのは、1952、53年頃からだという。
戦後の開発や改築で変貌を遂げていく京の町の姿を惜しみ、
絵で残したいと考え、史蹟指定等になっていない民家を中心に描いたのだという。
西川 純 (1886-1974年)
京都に生まれる。本名は純二。手描友禅の仕事に従事していたが、大下藤次郎の水彩画に惹かれ、
1904(明治37)年に鹿子木孟郎(かのこぎ たけしろう)の室町画塾に入門。この時、鹿子木、
都鳥英喜、黒田重太郎らとともに難波駅前の南地パノラマ館で『日本海海戦パノラマ』を制作した。
室町画塾が閉鎖されると浅井忠の聖護院洋画研究所に移り住み、その後、関西美術院に学ぶ。
大阪三越呉服店衣装部、島津製作所に勤めながら、京都市展、京展へ出品、朝日会館や丸善画廊で
個展を開催している。初期の鉛筆画からはデッサン力の高さが見てとれるが、初期の油彩画の作例は
ほとんど伝わっていない。
晩年は京の民家や街並みをスケッチして歩いたり、また記憶を頼りに昔の風俗を描くなどした。
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