祇園祭-南観音山の名宝-
2016.8.6(土) 〜 10.23(日)
南観音山を出す百足屋町(中京区新町通錦小路上ル)は、京都の商いの中心地として江戸時代には豪商が軒を連ねており、南観音山には贅を尽くした豪華な装飾が施されてきました。懸装品等には著名な絵師が下絵を手掛け、また中東など海外から渡来したとされる貴重な品々も伝来しています。美しい装飾品と華やかな祇園囃子の音色で、南観音山は山鉾巡行の列を彩ってきたのです。
南観音山は別名を「下り観音山」とも呼ばれ、江戸時代には北観音山と隔年交代で祇園祭の山鉾巡行に参加していました。南観音山の本尊は病気の苦しみから人びとを救済する楊柳観音で、南観音山はその象徴である柳の枝を垂らして巡行に臨みます。また、巡行前夜に南観音山では、本尊の楊柳観音像を蓮台に載せて町内を駆け回る「あばれ観音」という行事がおこなわれます。そのほか南観音山には、脇侍として善財童子が祀られています。
南観音山を飾る懸装品には躍動感あふれる意匠をもつ品が数多くあります。中でも塩川文麟が下絵を手掛けたという緋羅紗地四神文様刺繍の天水引や、土佐光孚による下絵を元にした金地舞楽図刺繍の下水引などは出色の品です。そのほか、幸野楳嶺らによる着色と伝える麒麟や仙女をかたどった破風飾や、南観音山の四角を飾る木彫漆箔の四君子薬玉角飾など、数々の名品によって、南観音山は彩られています。
本展覧会では、南観音山の所有する華やかな名宝の数々を紹介し、その素晴らしさをご堪能いただきます。そして祇園祭の歴史や文化の奥深さの一端に触れていただければ幸いです。
「祇園祭 − 南観音山の名宝−」展 出品資料一覧【PDF 70KB】
資料名 | 時代 | 指定等 | 展示期間 |
---|---|---|---|
前懸 中東連花葉文様 金銀糸入り ポロネーズ 絨毯 | 17世紀中期 | 重要有形民俗文化財 | 前期 |
後懸 斜め葉格子草花文様 インド絨毯 | 18世紀前期 | 重要有形民俗文化財 | 後期 |
見送 茶地日輪鳳凰額雲龍図 綴織 | 文政3年(1820) | 重要有形民俗文化財 | 前期 |
見送 龍王渡海図 綴織 加山又造原画 | 昭和62年(1987) | 重要有形民俗文化財 | 後期 |
天水引 緋羅紗地四神文様 刺繍 塩川文麟下絵 | 安政5年(1858) | 重要有形民俗文化財 | 後期 |
下水引 金地舞楽図 刺繍 土佐光孚下絵 | 文政元年(1818) | 重要有形民俗文化財 | 前期 |
下水引 飛天奏楽図 加山又造原画 | 平成12年(2000) | 重要有形民俗文化財 | 通期 |
破風飾 麒麟・仙女 | 明治21年(1888) | 重要有形民俗文化財 | 通期 |
木彫漆箔四君子文薬玉角飾 吉田雪嶺作 | 明治24年(1891) | 重要有形民俗文化財 | 通期 |
龍の丸文見送裾金具 | 重要有形民俗文化財 | 前期 | |
尾長鳥(旧) | 重要有形民俗文化財 | 前期 | |
金幣 朱房金具台付き | 明治41年(1908) | 重要有形民俗文化財 | 後期 |
祇園牛頭天王神号 | 通期 | ||
囃子方楽器衣裳一式 | 通期 |