近代京都の大津絵 —小川千甕「西洋風俗大津絵」を中心に—
2017.4.29(土・祝) 〜 6.18(日)
大津絵とは、江戸から明治期にかけて、東海道最大の宿場であった大津の西端に位置する追分、大谷で土産物として売られていた無銘の庶民絵画をいいます。特に関西エリアに浸透していた大津絵は定型化した画題を持つようになり、特に四条派の画家たちは、しばしば大津絵画題の作品を手がけたことが知られています。明治以降も富岡鉄斎、鈴木松年、久保田米僊、浅井忠、竹内栖鳳、冨田渓仙、神坂雪佳などの近代画家によって、大津絵画題の作品や大津絵スタイルの作品が、しばしば描かれました。
そうした中でも、近代京都を代表する洋画家・浅井忠は「黙語図案集」や「今様大津絵」という絵葉書を作るなど、大津絵をことのほか愛好したことで知られます。そして、その弟子である小川千甕は、大正初年の渡欧体験を踏まえて「西洋風俗大津絵」を手がけました。「西洋風俗大津絵」は従来の大津絵を踏まえつつ、西洋風俗と大津絵を重ね合わせて、新たなイメージを作り出した点で、画期的な作品と言えるでしょう。
本展では、近代京都の画家を中心に、近代画家による大津絵への取り組みについて、ご紹介します。
作者 | 作品 | 制作年 | 員数 | 所蔵 | 展示期間 |
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久保田米僊 | 大津絵十種 | 明治27年 | 10枚 | 京都府 (京都文化博物館管理) | 通期 |
幸野楳嶺 久保田米僊 巨勢小石 | 寄合三種大津絵図 | 1幅 | 白澤庵 (大津市歴史博物館寄託) | 前期 | |
鈴木百年 | 大津絵行列図 | 1幅 | 白澤庵 (大津市歴史博物館寄託) | 後期 | |
冨田渓仙 | 六種大津絵 | 大正3年 | 1幅 | 白澤庵 (大津市歴史博物館寄託) | 後期 |
近藤浩一路 | 鬼の念仏 | 1幅 | 個人蔵 (大津市歴史博物館寄託) | 前期 | |
神坂雪佳 | 藤娘図 | 1幅 | 個人蔵 (大津市歴史博物館寄託) | 前期 | |
山村耕花 | 若衆 | 1幅 | 白澤庵 (大津市歴史博物館寄託) | 前期 | |
大林千萬樹 | 藤娘 | 1幅 | 白澤庵 (大津市歴史博物館寄託) | 後期 | |
橋本関雪 | 鬼の念仏 | 1幅 | 個人蔵 | 後期 | |
鈴木松年 | 座頭・鬼の念仏 | 2曲1隻 | 個人蔵 | 通期 | |
鈴木松年 | 浮世又平・鬼の念仏 | 2曲1隻 | 白澤庵 | 通期 | |
京都画壇寄合 大津絵屏風(木版) | 大正12年 | 6曲1双 | 個人蔵 | 通期(展示替) | |
浅井忠 | 黙語図案集 | 明治41年 | 1冊 | 京都府立京都学・歴彩館 | 通期(頁替) |
小川千甕 | スケッチ帖 | 1冊 | 京都府 (京都文化博物館管理) | 通期 | |
小川千甕 | 西洋風俗大津絵 | 大正3年 | 19枚 | 京都府 (京都文化博物館管理) | 通期(展示替) |
楠瀬日年 | 大津絵 | 大正9年 | 2冊 | 京都府立京都学・歴彩館 | 通期(頁替) |
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