京の翠とわざの粋 -緑釉陶器と緑釉瓦-
2020.5.19(火) 〜 8.30(日)
緑釉陶器・緑釉瓦は、土器・瓦を一度焼き上げたのち、鉛を主体とした釉薬をかけ、低火度でもう一度焼成をおこなった手間のかかる焼きものです。今回の展示では、これまであまり知られていなかった「石作窯」から出土した資料を初公開します。この窯は、平安時代に洛西(京都市西京区)に営まれた窯で、緑釉陶器やその素地、また緑釉陶器の製作にかかせない窯道具といった、多数の貴重な資料が出土しました。
この資料の整理にあわせて、緑釉陶器・緑釉瓦に関する研究を3カ年かけて(公財)古代学協会が中心となって進め、大きな成果をあげました。そこで、その成果を紹介するため、本展を企画しました。本展では「石作窯」に加えて平安京近隣の窯跡出土品、そして実際に当時の建物を飾り、また人々に使われた器の数々を紹介します。平安時代の人びとに愛された「みどり」をお楽しみいただければ幸いです。
また本展では、日本で唯一と思われる平安緑釉の焼成実験の取り組みを紹介します。(公財)生涯学習かめおか財団がおこなった「小型三角窯」の復元とその窯での焼成実験は、考古学者と現代の陶芸家が亀岡市の篠窯跡群での発掘調査成果をもとに古代の技術を蘇らせる試みです。現在も進行中のこの実験が、古代の人びとのわざにどこまで迫れたのか、ぜひご覧ください。
施釉陶器は、奈良時代の仏器としての性格から、長岡京期以降、実用品へと変化します。各時期の優品からこの変化を紹介します。
緑釉陶器・瓦を製作した窯が平安京周辺で多く発見されています。吉志部、洛北、洛西、篠の諸窯から生産地の様子を探ります。
石作窯は京都市西京区に所在する平安時代の窯跡です。古代学協会が1979年に発掘し、現在は京都文化博物館に資料が保管されています。石作窯跡では床面と側壁の立ち上がり(赤く焼けた部分)がみつかっており、上から見ると三角形で一辺の長さは約1.5m程度になります。また焚口部分は特異な二口の可能性があります。この同じ形態の窯が亀岡市の篠窯跡群で数多くみつかりました。こうしてこの構造の窯が平安京周辺での緑釉陶器の二次焼成窯であることがわかりました。
平安京の人びとが実際に使った器の数々を紹介します。緑釉陶器のいろどりを比べてみてください。
緑釉の瓦は特別な建物のみに用いられました。平安京の宮殿や寺院に用いられた緑釉瓦を展示します。
平安時代の緑釉陶器の技法を現代に復元するプロジェクトが進行中です。復元品と映像から、これまでの成果を報告します。
ギャラリートーク
日時:2020年6月13日(土)※中止させていただきます。