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    Title

    京の盆踊り

    Date

    2021.8.7(土) 〜 9.26(日)

    会場: 2階総合展示室

    緊急事態宣言延長をうけ閉幕。


    京都には伝統的な盆踊りが残っています。

     盆踊りは、日本の夏を彩る催事として広く親しまれてきました。8月のお盆の頃、人々が広場に集まり、鉦や太鼓が打ち鳴らされ、音頭取りが歌う軽快なリズムに乗って、輪になって踊る姿には、私たちの文化の中で培われてきた歌舞音曲の要素がたくさん込められています。
     盆踊りの成立は、室町時代中頃、応仁・文明の乱がおさまった後に京都で流行した風流踊(ふりゅうおどり)がその契機となったといわれています。風流踊はお盆以外の様々な機会でも踊られましたが、当時の盂蘭盆(うらぼん)では、念仏を唱える際にこれを笛や太鼓や鉦を鳴らして囃す芸能が育ちつつあり、それがこの風流踊と結びついて、次第に盆踊りの文化が育成されていったと考えられています。
     盆踊りには、成立当初から流行を追い求める傾向があり、その時々の人々の好みに応じて様々な趣向や音曲が取り入れられ、自在にその姿を変えてゆきました。その一方で古くなった芸能の多くは廃れてしまいましたが、京都には、かつて流行した盆踊りの形態が一部で今も大切に伝え残されているのです。
     この展覧会では、京都に残る伝統的な盆踊りの様相を、これを記録した江戸時代の書物や絵画資料などによって紹介します。日本の文化として馴染み深い盆踊りについて、その変化の過程やそれぞれの芸能の面白さをご堪能いただければ幸いです。

    基本情報

    会期
    2021年8月7日(土)~9月26日(日)
    休館日
    月曜日(祝日の場合は開館、翌日休館)
    会場
    京都文化博物館 2階展示室
    開館時間
    10:00~19:30(入場は閉室の30分前まで)
    入場料
    一般・大学生500円(400円)、大学生400円(320円)、高校生以下無料
    ※上記料金で3階フィルムシアターもご覧いただけます。 (催事により有料の場合あり)
    ※新型コロナウィルス感染症の今後の状況により、予定を変更する場合もございますのでご了承ください。
    主催
    京都府、京都文化博物館



    紀 徳直 「洛北三祭礼図」岩倉灯籠踊
    紀 徳直 「洛北三祭礼図」
    岩倉灯籠踊
    紀 徳直 「洛北三祭礼図」一乗寺鉄扇
    紀 徳直 「洛北三祭礼図」
    一乗寺鉄扇
    紀 徳直 「洛北三祭礼図」松ヶ崎題目踊・さし踊
    紀 徳直 「洛北三祭礼図」
    松ヶ崎題目踊・さし踊

    主な作品

    盆灯籠(ぼんどうろう)と盆踊り

     京都には、紙などでこしらえた灯籠を踊り手が頭上に載せて踊る灯籠踊の文化を残している例がいくつかあります。その昔、室町時代の京都では、盂蘭盆の飾り物として盆灯籠を作って贈答品とする習慣が貴族などの間で流行していましたが、それが次第に発展して、華麗な盆灯籠を軒先に飾って人々が観覧する文化が芽生えました。盂蘭盆に飾られる盆灯籠は精霊の供養としての性格を持っていたとされ、これが盆の踊りと結びついて、踊り手が灯籠を頭にいただいて踊る趣向が生み出されました。江戸時代の資料には、岩倉・花園両村の灯籠踊や松ヶ崎の灯籠踊の様子が挿絵入りで紹介されているものがあります。また現在でも、京都市左京区久多には花笠と呼ばれる灯籠と共に踊る花笠踊が伝えられており、左京区八瀬には切子灯籠を頭に載せて練り歩く八瀬赦免地踊が伝承されています。

    伝・狩野晴川「美人盆踊」
    伝・狩野晴川「美人盆踊」
    伝・狩野晴川「美人盆踊」
    花笠(久多花笠踊)花笠(久多花笠踊)
    『骨董集』より「燈籠踊の古図」
    『骨董集』より「燈籠踊の古図」
    『都名所車』より「松ヶ崎 灯籠おどり」
    『都名所車』より「松ヶ崎 灯籠おどり」
    盆踊りの移り変わり

     盆踊りは、人々の遊興の心の動きに沿って展開をしてきたので、その時々の流行に応じて新しい音頭が取り入れられてきました。それと共に古い音頭は用いられなくなっていったのですが、京都には、かつて流行した音頭を伝え残している盆踊りが今もいくつかあります。例えば京都市左京区一乗寺には「鉄扇(てっせん)」という音頭と踊りが伝えられていますが、これは江戸時代に流行した浄瑠璃の流れを受けた音頭であるといいます。鉄扇は左京区静市市原にも伝えられていますが、市原にはこのほかに「ハモハ踊」という念仏が転訛した歌をもつ踊りも伝承されています。左京区大原では9月1日に八朔(はっさく)踊が行われますが、そこでは寄せ歌として「ションガイナ」という歌が歌われるほか、江戸時代中期に流行した踊り口説の「道念(どうねん)」による踊りが披露されます。また江戸時代の資料に灯籠踊の様子が記載されていた左京区松ヶ崎では、「題目踊」と「さし踊」という踊りが行われており、流行と共に盆踊りの芸能が移り変わってゆく様子がうかがえます。

    『京童跡追』より「松ヶ崎 妙泉寺おどり」『京童跡追』より「松ヶ崎 妙泉寺のおどり」
    西村楠亭「盆踊」
    西村楠亭「盆踊」
    『拾遺都名所図会』より「都町踊」
    『拾遺都名所図会』より「都町踊」
    『絵本都草紙』より「柳町のおどり」
    『絵本都草紙』より「柳町のおどり」

    出品資料一覧

    番号 資料名 員数 時代 所蔵者
    1 紀徳直「洛北三祭礼図」 3幅 江戸後期〜明治時代 京都府蔵(京都文化博物館管理)
    2 西村楠亭「盆踊」 1幅 江戸時代後期 京都府蔵(京都文化博物館管理)
    3 伝・狩野晴川「美人盆踊」 2幅 江戸時代後期 京都府蔵(京都文化博物館管理)
    4 上田公長「盆踊り」 1幅 江戸時代後期 京都府蔵(京都文化博物館管理)
    5 『絵本都草紙』上巻 1冊 延享3年(1746)刊 京都府蔵(京都文化博物館管理)
    6 『拾遺都名所図会』巻1 1冊 天明7年(1787)刊 京都府蔵(京都文化博物館管理)
    7 『都すずめ案内者』上巻 1冊 正徳5年(1715)刊 京都府蔵(京都文化博物館管理)
    8 『都名所車』 1冊 正徳4年(1714)刊 京都府蔵(京都文化博物館管理)
    9 『京童跡追』巻2 1冊 寛文7年(1667)刊 京都府蔵(京都文化博物館管理)
    10 『骨董集』上編上 1冊 天保7年(1836)刊 京都府蔵(京都文化博物館管理)
    11 『一代男画譜』 1冊 大正7年(1918)刊 京都府蔵(京都文化博物館管理)
    12 胴長太鼓(台付) 1台 京都府蔵(京都文化博物館管理)
    13 白川女装束 一式 昭和30年代 京都府蔵(京都文化博物館管理)
    14 差柄団扇 1枚 近代 京都府蔵(京都文化博物館管理)
    15 朝日亭配り団扇 1枚 近代 京都府蔵(京都文化博物館管理)
    16 花笠(久多花笠踊) 3点 昭和時代 京都府蔵(京都文化博物館管理)
    17 『寶永花洛細見圖』巻4・巻7 2冊 江戸時代前期 京都府立京都学・歴彩館蔵
    18 「盆踊り停止の通達」(平和家文書) 1枚 明治13年(1880) 京都府立京都学・歴彩館蔵
    19 「口述」(三条衣棚町文書) 1枚 江戸時代後期 京都府立京都学・歴彩館蔵
    20 上林役所廻文(宮本守三家文書) 1枚 江戸時代後期 京都府立京都学・歴彩館蔵
    21 「修学院盆踊」(矢野家写真資料) 1点 大正~昭和初期 「京の記憶アーカイブ」より
    22 「松ヶ崎題目踊」(矢野家写真資料) 1点 大正~昭和初期 「京の記憶アーカイブ」より
    23 「八瀬赦免地踊」(黒川翠山撮影写真資料) 1点 大正~昭和初期 「京の記憶アーカイブ」より
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