木島櫻谷の世界
2017.10.28(土) 〜 12.24(日)
本展は、近代の日本画家・木島櫻谷(1877~1938)が生まれ育った京都・三条室町(御倉町)の生家近くにあった旧家・大橋家から、新たに発見され、京都府に寄贈された作品群を中心に、木島櫻谷が描き出した世界をお楽しみいただくことを目的としています。
動物画の名手として知られる櫻谷ですが、人物画、風景画なども見事に描きます。円山四条派を受け継ぐ今尾景年に師事し、確かな伝統に新時代の感性を取り入れた櫻谷の画風は、洗練された技術に裏付けられた写実、そして優美で穏和な雰囲気を特徴としています。
本展では、櫻谷の描く繊細華麗な世界をご覧いただきます。
京都の三条室町(御倉町)に生まれた木島櫻谷は、同じ町内に住む京都画壇の巨匠・今尾景年に師事し、絵の基本を叩き込まれました。櫻谷は入門のとき、景年の画室に弁慶の勧進帳のシーンを描いた作品が立てかけてあるのを目にしています。また、櫻谷の自宅の隣家には、日本画家・榊原文翠が住んでいました。実家の向かいは、染織問屋の西村總左衛門という環境でした。また、櫻谷は、父親の友人であった岸竹堂とも親しかったといいます。
櫻谷の「初夏・晩秋」は、明治36年の今尾塾絵画展覧会に出品されたことがわかっています。第1回文展出品作「しぐれ」(東京国立近代美術館蔵)に先駆ける鹿図屏風の名品です。
木島櫻谷といえば、動物画が有名ですが、歴史人物や同時代風俗を主題とした作品も残しています。師の今尾景年も花鳥画家ですが、櫻谷は景年入門以前から人物画、特に歴史画に惹かれていたといいます。少年雑誌の小堀鞆音や松本楓湖らの挿絵を研究するほか、菊池容斎の画論に心酔し、『前賢故実』を模写するなどしました。
昭和に入ると、櫻谷はしだいに公務から身を引き、画壇から遠ざかり、悠々自適の隠棲生活に入ったといわれます。そんな櫻谷でしたが、昭和13年、京阪電車枚方付近で事故に遭い、62年の生涯を閉じることになります。
*定員に達しましたので募集を締切らせていただきました。
※午後6時から展示室内で行います。
事前申込み不要、当日の入場者に限ります。
生誕140年にあたる今年、京都市内の3施設で櫻谷の画業、暮らしぶり、人物に迫る興味深い展覧・展示がほぼ同時期に楽しめます