京に響く彫鍛金の技 詩情溢れる生命の息吹加藤宗巌・忠雄展
2018.3.10(土) 〜 5.6(日)
京都では古くから建築や茶道具、工芸品など多彩な分野で金属工芸の素晴らしいものが数々作られてきました。一口に金属工芸といっても技法もさまざまで、主な技法としては鋳金、鍛金、彫金の3つに大別することができます。鋳金は、溶かした金属を鋳型に流し込んで成形していきますが、鍛金は一枚の金属板を叩いて伸ばしたり絞ったりしながら形づくっていきます。彫金は鏨や金鎚で金属を装飾していく技法で、伝統的なものだけでも毛彫、片切彫、透彫、高肉彫、薄肉彫、象嵌、魚々子打などいくつもの技術がみられます。今回ご紹介する加藤宗巌、忠雄の親子は鍛金、彫金の技法を用いて詩情溢れる生命の息吹きを表現した金工作家です。
加藤宗巌は、明治32(1899)年に京都文化博物館のごく近隣の京都市三条通富小路西入る中ノ町に生まれました。宗巌の祖父の加藤嘉兵衛以前は刀剣の鎺や笄、切羽などの金具をつくる白銀師でしたが、明治維新の廃刀令により需要が激減したため、替わって銀細工や香道具などを手掛けるようになりました。宗巌は父嘉七に伝承の彫鍛金技術を学び、猿や鳥など動物たちのふとした表情や習性をとらえデフォルメし、微笑ましく詩情溢れる作品を制作、昭和の初めより日展を中心に活躍してきました。また、宗巌の次男である忠雄もいのちを慈しむ精神を引き継ぎ、父や大須賀喬のもとで磨いた彫鍛金技術をもとに、蝸牛や魚、花などのモチーフを取り入れた心情豊かな作品づくりを展開しています。
本展では、このたびの京都府への寄贈を機に、これまで京都府に所蔵されていた作品とあわせ、生あるものへ温かな眼差しを向け、詩情溢れる金工の世界を花開かせた宗巌、忠雄親子の作品を紹介します。
⑴加藤宗巌
① 望郷(1966)
② 猿(1974)
③ 鳥パネル(1965)
④ 鷺姫(1979)
⑤ 子狐 装い(1982)
⑥ 南鐐 白孔雀香炉(1983)
⑵加藤忠雄
① 花器 求(1969)
② 心華(1972)
③ 花挿のある盛器(1977)
④ 彫金飾器(1980)
⑤ 心象(1974)
⑥ 銀蝸牛打出し香炉(2004)
⑦ 銀飾箱 通り雨(2001)
⑧ 銀八稜花瓶(2006)
⑨ 銀置物 花の精(2009)
※事前申込み不要 当日の入場者に限ります。
※事前申込み不要 当日の入場者に限ります。