祇園祭-岩戸山の名宝-
2017.1.21(土) 〜 4.2(日)
「国産み」と「天の岩戸」は、共に我が国古来の神話としてよく知られた物語ですが、その二つの神話を主題にした意匠を有しているのが岩戸山です。御神体として搭載されているのは天の岩戸の物語の主人公である
応仁の乱より以前から祇園祭の巡行に参加していた岩戸山は、江戸時代に鉾の形を模した大屋根をつけたとされ、そのため真木ではなく真松が立てられています。そして岩戸山を飾る装飾には、中国や中東から渡来した懸装品のほか、幕末維新の時代に活躍した四条派の絵師今尾景年が手掛けた天井画など、時代を超えた数々の名品が伝えられています。
今回の展覧会を機会に、岩戸山の持つ貴重な品々に接しその素晴らしさご堪能いただきますと共に、祇園祭の歴史や文化の奥深さの一端に触れていただければ幸いです。
岩戸山の正面を飾る前懸は17世紀後半頃に中国の近辺で製織された玉取り獅子図に八角飾り連文額文様の絨毯で、左右の胴懸には変わり斜め格子花文様で藍地と黄地のいずれも18世紀初頭にインドで織られた絨毯が飾られます。また見送には日月龍額唐子嬉遊図の刺繍が施された品が伝わります。そのほか金地鳳凰瑞華彩雲岩に波文様の刺繍が施された下水引や、緋羅紗地宝相華文様の刺繍の二番水引、紺金地縞雲巴木瓜文様の綴織の三番水引などが目を引きます。
そして、岩戸山の大屋根の軒裏には、幕末から近代の京都で活躍した絵師の