雛人形名品展
2021.2.2(火) 〜 4.4(日)
長い冬を過ぎて、今年も雛祭の季節がめぐってきました。厳しい寒さも少しずつ緩み、春の訪れが感じられてきます。
京都府には、江戸時代からのさまざまな人形とその関連資料が収蔵されており、例年、上巳の節句(桃の節句)にあわせた展示を行ってきました。本年も、京都府コレクションから選りすぐった優品を展示いたします。
雛人形は、紙で作った「形代(かたしろ)」が起源であると考えられています。紙で人の形を作って体を撫でて、いろいろな穢(けがれ)をこの形代にうつし、災いを免れるよう願ったということです。中国で、旧暦3月3日の上巳(じょうし)の日に、川で身を洗って穢(けがれ)をはらう習慣があったものをとり入れたものだといわれます。
いっぽう、小さな女の子がお人形で遊ぶのは少なくとも平安時代からあったようで、「源氏物語」に、若紫が人形で遊んでいる場面があります。このお人形遊びと、形代がいつしかいっしょになって、江戸時代初期(17世紀)くらいから、現在のような雛祭の習慣になったといわれています。
京都では、長い歴史を通して人形の文化が形成され、雛人形にもさまざまな様式のものがあらわれました。雛人形の始まりの面影を残す立雛、小ぶりながらもおおらかな魅力をたたえた元禄雛、公家の女性たちの姿がしのばれる有職雛、今日の雛人形の原型でもある、親しみ深い古今雛・・・といったふうに、それぞれに魅力的な雛人形をお楽しみいただきたいと思います。
また、素朴な姿の中に不思議な迫力を感じさせる天児(あまがつ)や這子(ほうこ)、ふっくらと白く輝くような御所人形、愛らしい子供の振袖もご紹介します。