雛人形名品展
2020.2.15(土) 〜 4.5(日)
京都府では、江戸時代から現代までの雛人形とその関連資料を多く収蔵しており、工夫を凝らした構成で紹介を行ってきました。本年の雛人形名品展では、時代ごとの特徴的な様式の雛人形や近年の寄附作品などから、選りすぐった優品を展示いたします。
穏やかに微笑む有職雛や古今雛を眺めながら、春の訪れを感じていただきたいと思います。また今回は、昭和時代初期の大礼雛もご紹介いたします。
立雛
もっとも古い様式であるといわれる雛人形。座った形の雛人形が現れてからも長く用いられている様式で、現代の人形にも見られる。男雛は袴姿で袖を大きく広げた姿を、女雛は小袖を着て袖を前に重ねた姿をデフォルメしていると考えられている。立雛に対し、座った形の雛人形を「坐雛(ざびな)」「居雛(いびな)」などと総称する。
元禄雛
元禄期(1688-1704)を中心とする江戸時代中期頃の雛人形。座った形の雛人形の中では非常に古い様式の雛人形である。享保雛と形がよく似ていることから、元禄雛を「古式享保雛」と呼ぶこともある。まだ頭髪として絹糸を植え込む技術がなかった頃のもので、髪と冠は墨を塗ることによって表している。
享保雛
元禄雛に似るが、生糸を黒く染めて作った髪を、頭に植えている。享保期(1716-35)ごろに現れたと考えられる雛人形であるが、江戸時代の末期ぐらいまで好んで作られた様式。なお元禄雛、享保雛と、後述する古今雛は、公家や武家に好まれた雛人形に対して町家で好まれた雛人形という意味で「町雛」と総称される。
有職雛
公家の注文により作られた雛人形である。宝暦期(1751-64)頃より作られはじめたとされる。公家の衣裳や髪型、化粧などを忠実に再現して作られている。公家の衣裳には身分や場面別にいくつもの種類があり、したがって有職雛の衣裳もさまざまであるため、「直衣雛」「狩衣雛」といったように、男雛の装束の名称で呼び分けることもある。
古今雛
現在の雛人形のルーツともいえる雛人形である。明和年間(1764-72)に、江戸の人形師、原舟月(はらしゅうげつ)が作ったのが始まりとされている。男雛は束帯、女雛は五衣唐衣裳(十二単)を強く意識していると考えられる。
※事前申込み不要 当日の入場者に限ります。