祇園祭展
2021.6.5(土) 〜 8.1(日)
祇園祭の山鉾巡行は、京都の夏を彩る風物詩として長く親しまれてきました。舶来の懸装品や美々しい飾金具、そして故事や伝説の物語を体現した意匠の数々など、多様な装飾品で彩られた絢爛豪華な山鉾の姿は、多くの人びとを魅了してきたのです。
祇園祭の源泉は、遠く千年以上前の平安時代初期にさかのぼり、都の安寧を脅かす疫神の退散を願った祭儀に由来するとされています。それから幾多の年月を経てゆく中で、祭礼にはさまざまな変化がもたらされますが、今からおよそ七百年前には山や鉾が祇園祭に登場するようになります。祇園祭の行列をにぎやかな踊りや音曲で囃し美しい装飾が施された山や鉾が往来する様相は、沿道に繰り出す観衆を大いに熱狂させました。その担い手となったのは、後に町衆と総称される都の経済を支えた商工業者たちでした。彼らの情熱は祇園祭の山鉾巡行をより盛大なものへと成長させてゆき、現在の祭礼の姿ヘと連なるいしずえを作り上げていったのです。
この展覧会では、日本を代表する都市祭礼である京都祇園祭について紹介します。
祇園祭に登場する山や鉾には、美しく由緒もある懸装品が数多く用いられ、東アジアや中近東、そしてヨーロッパの美術工芸の粋が集結しています。また日本国内の技術の進歩や芸術の進化に伴って斬新な装飾品で飾られるようになっていったのも祇園祭の山鉾の特徴です。京の歴史の移り変わりとともに現代まで連綿と受け継がれてきた祇園祭は、京都だけでなく日本を代表する祭礼として名高いものであり、絢爛豪華に装飾された山鉾は「動く美術館」とも称され国の重要有形民俗文化財に指定されているほか、ユネスコの無形文化遺産にも登録されています。
祇園祭の山鉾巡行が行なわれる前夜を宵山といいます。前祭では巡行前日の7月16日に14日と15日を加えた3日間が宵山で、後祭では21日から23日までが宵山です。宵山では、各山鉾の駒形提灯に灯がともり、祇園囃子の音色が流れ、町会所などには山鉾の御神体人形や懸装品や金具などが美しく飾られます。そして、お守りを売る浴衣姿の子どもたちのわらべ歌が聞こえてきます。宵山は祭りの風情が最も盛り上がる時なのです。宵山では、山鉾町やその周辺の町家で、家宝の屏風などを家のミセノマ(店の間)や座敷に飾り付けて、道行く人の眼を楽しませるという習慣があります。これは「屏風祭」と呼ばれており、祇園祭宵山の名物のひとつとなっています。
祇園祭は、蔓延する疫病を防ぐ目的で平安時代初期に催された御霊会に始まるとされます。その伝統は今も祭りの中に息づいていますが、その象徴とされるのが、縁起物として授けられる
番号 | 資料名 | 年代 | 員数 | 所蔵者 |
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1 | 八幡山見送「唐子遊図」 | 文化2年(1805) | 1枚 | 個人蔵 |
2 | 孟宗山見送「白綴地墨画孟宗竹藪林図」竹内栖鳳 画 | 昭和15年(1940) | 1枚 | 孟宗山保存会 |
3 | 月鉾鉾頭 銅製鍍金月形 | 文化8年(1811) | 1点 | 公益財団法人月鉾保存会 |
4 | 月鉾角飾金具 桜花文様鍍金 | 文政2年(1819) | 8点 | 公益財団法人月鉾保存会 |
5 | 重要文化財 黒韋縅肩白胴丸 大袖喉輪付 | 室町時代 | 1領 | 公益財団法人浄妙山保存会 |
6 | 洛中洛外図屏風(松居家本) | 江戸時代後期 | 六曲一双 | 個人蔵 |
7 | 『祇園御霊会細記』 | 宝暦7年(1757)刊 | 2冊 | 京都府 |
8 | 『山鉾由来記』 | 宝暦7年(1757)刊 | 4冊 | 京都府 |
9 | 『都名所図会』巻2 | 安永9年(1780)刊 | 1冊 | 京都府 |
10 | 『諸国図会年中行事大成』巻6 | 文化3年(1806)刊 | 1冊 | 京都府 |
11 | 月鉾模型 | 昭和時代 | 1台 | 京都府 |
12 | 長刀鉾模型 | 昭和時代 | 1台 | 京都文化博物館 |
13 | 月鉾模型 | 明治時代 | 1台 | 京都文化博物館 |