源氏絵の時代-近世の京都と源氏物語-
2014.9.5(金) 〜 11.16(日)
日本の王朝文学の傑作である『源氏物語』は、日本美術の歴史においても、最も重要なテーマの一つであり続けてきました。物語の主人公、光源氏と紫の上が生きる舞台は、宮廷文化が優雅と洗練を極めた平安時代の社会です。ある読者は、そこに華やかな宮廷生活を思い描き、また時々の権力者や貴族たちは、光源氏の理想と現実に自らを重ね合わせました。『源氏物語』は王朝文化の美しさと、天皇家と貴族たちの高貴な血統の力を体現した物語であり、貴族社会のアイデンティティそのものだったのです。
この『源氏物語』の世界を絵に表したものを、「源氏絵」と呼びます。平安時代以来、制作され続けてきたその数は少なくとも数千点をくだらず、源氏絵は日本絵画における最大のテーマの一つと言えるでしょう。源氏絵制作は特に、室町時代から江戸時代初頭にかけて、京都を中心に隆盛を迎えます。新旧のさまざまな権力者たちがせめぎ合い、社会構造が大きく変化する世相の中で、貴族や大名たちが憧れたものこそ『源氏物語』の理想でした。折しもこの時代は、狩野派を中心に土佐派など様々な画人が活躍して文化が花開いた時期に当たっており、そのことがこれらの源氏絵を一層魅力的で豊かなものにしています。
本展示においては京都府の所蔵品を中心に、いくつかのすぐれた新出作品を交えつつ、この源氏絵の世界に迫ります。近世の京都で育まれた、源氏絵の豊穣な世界の一端を体感して頂ければ幸いです。
平成26年9月5日(金)~11月16日(日)
前期展示:9月5日(金)~10月13日(月・祝)
後期展示:10月15日(水)~11月16日(日)
休館日:月曜日(祝日の場合は開館、翌日休館)10:00~19:30(入場は19:00まで)
■源氏物語(大島本) | 室町時代 | 通期* |
■源氏物語図扇面 初音 | 桃山時代 | 通期 |
■源氏物語図押絵貼屏風 | 江戸時代前期 | 前期 |
■源氏物語画帖 | 江戸時代前期 | 通期* |
■源氏物語図色紙 | 桃山~江戸時代前期 | 通期* |
■源氏物語図 若菜 | 江戸時代中期 | 前期 |
※展示資料は都合により変更する場合がございます。