世界考古学会議京都(WAC-8)開催記念
アートと考古学展 〜物の声を、土の声を聴け〜
2016.7.23(土) 〜 9.11(日)
「京都から世界に提案!考古学・考古遺産の見方、楽しみ方」
“考古学のオリンピック”世界考古学会議が京都にやってきます。世界遺産の発掘担当者や人類の宝を預かる博物館学芸員をはじめ、考古学に関心をもつあらゆる人々が4年に一度集まり、考古遺産の過去・現在・未来に関わる様々なトピックスについて、広く交流し、熱い議論を交わします。このトピックスの一つとして注目を集めるのが「アートと考古学」です。
「アートと考古学」は、考古学をより多くの人々に開放し、その楽しみ方を再発見したり、もっと魅力や価値を高めようとしたりする運動の一つで、とくに芸術(家)と考古学(者)のコラボレーションによる様々な取り組みを指します。近年、このアートと考古学という異色の出会いが、文化遺産の世界で新たな魅力や価値観を創造しつつあります。いまや世界的潮流となったこのアートな動きから、どんな作品が生み出され、どんな新しい楽しみ方が提案されているのでしょうか。本展では、こうした世界の動きを踏まえつつ、京都を中心とした「アートと考古学」の取り組みをご紹介します。
日本人は、地中からの出土品や古ぼけた遺物に対して、長い年月をかけつつ、とても自由な感性をもって、ユニークな意味を見いだしています。地中から出土した銅鐘に吉祥を感じて寺の造営をおこなったり、捨てられた靴や琵琶などに精霊がやどると考えたり、古びた器にわびの精神を悟ったり。本章では、日本人が育んだモノの豊かな捉え方や価値観を紹介します。こうした自由な感性を振り返ることが、考古学の新たな魅力を見出すきっかけとなるでしょう。
<主な展示品>
■石山寺縁起絵巻(模本)巻一 | 江戸時代(原本・鎌倉時代) | 石山寺蔵 |
■付喪神絵詞 | 江戸後期 | 京都市立芸術大学芸術資料館蔵 |
■金山天王寺縁起絵巻 | 室町時代 | 廬山寺蔵 |
■日嗣御子御陵 | 江戸後期 | 個人蔵 |
■集古図 | 江戸末期 | 京都府立総合資料館蔵 |
■百鬼夜行絵巻 | 江戸後期 | 京都府立総合資料館蔵(京都文化博物館管理) |
考古学の美や魅力の種として、近年取り上げられ始めたのは、考古遺物だけではなく、遺物実測図や遺構写真、歴史解釈や思考といった考古学者が普段の研究活動の中で生み出してきたものです。日本画や西洋画のデッサンともまた異なる独特の実測図や写真は、新たな美の表現として評価されています。考古学者の読み解いた歴史像や解釈は、復元イメージとして新たな造形に結びついています。本章では、こうした考古学から生まれる芸術を再発見します。
<主な展示品>
■観古図説 | 昭和時代(原本・明治時代) | 京都文化博物館蔵 |
■人種模様 | 明治時代 | 個人蔵 |
■歴史復元画 | 昭和〜平成時代 | 安芸早穂子・画 |
■考古資料の実測図・写真 | 京都文化博物館蔵 |
アーテイストが考古資料を見ると、何に気づき、何を感じるのでしょうか。アーテイストは、独特の感性と豊かな想像力によって、考古資料を味わい、様々に見立てます。その感性は、非常に共感しやすいものもあり、単刀直入なものもあり、ときに考古学者の常識を大きく超えていきます。それはあたかも、物体が秘めている物語を、アーテイストだけが読み解けるかのようです。本章では、考古資料のアートな楽しみ方を提案します。
<主な展示品>
■京都出土の考古資料 | 京都文化博物館蔵 |
第1章で日本人のユニークな視点、第2章で考古遺物や考古学という学問そのもののアートな魅力や価値、そして第3章では考古資料のアートな味わい方を紹介しました。本章ではいよいよ、アーティストと考古学の出会いによって生み出された、作品をご覧いただきます。
ここでは、例えばかつての日本人のように遺跡にもっと敬意を払い、同時に遺跡から未来に継承したい文化財を創造することを試みます。出品作家の一人、松井利夫は、通常排土として捨てられる遺跡の土を用いて、新たな京の色と形を作り出します。一万年前の生活跡の土、千年前の人々が触った土、様々な「歴史」を包み込む土の美と力は、遺跡の価値を広げ、考古遺産保護と活用に新たな可能性を提示することでしょう。
<出品予定作家>
松井利夫、伊達伸明、日下部一司、清水志郎、八木良太
○申込み方法《イベント①は要事前申込み、先着順。参加者1名毎に要申込み。》
京都文化博物館ホームページ「アートと考古学展イベント」申込みフォームからお申込みください。
②~⑤は申込み不要。ただし総合展示入場券が必要(半券可)
①本展覧会は、世界考古学会議京都(WAC-8)をはじめ大会関係組織と連携します。WAC-8では特別セッション会場やエクスカーション訪問先に当館が予定されています。
②WAC-8のアート&考古学の関連事業は、当館の展覧会のほか、建仁寺塔頭両足院やMATSUO MEGUMI +VOICE GALLERY pfs/w、高瀬川四季AIRなどの市内各所で展覧会が予定されており、京都で面的な広がりをもって実施される予定です。
①「考古学のオリンピック」東アジアで初の開催
WACは、約130カ国に会員をもつ世界最大規模の考古学の国際組織です。総会は4年ごとに開催され、人類の歴史や文化、芸術に興味をもつあらゆる人々が集まります。世界遺産を含む各地調査の最新情報、災害や戦争時における文化財保護の最先端の実践、教育や芸術・観光分野などとの斬新な連携企画など、多彩且つ刺激的なトピックスが扱われます。この地球規模の発信力をもつ総会が、京都で開催されます。
②世界考古学会議第8回総会(WAC-8)の予定
ホームページ:www.wac8.org