今井憲一 ―幻想とリアルのあわい
2025.7.26(土) 〜 9.21(日)
今井憲一は、1907年、京都市に生まれました。京都市第二高等小学校卒業後、独学で油絵を描き始めた今井の転機となったのは、津田青楓洋画塾での学びです。師・青楓を通して「見ること」の難しさと重要性を知ることから、洋画家・今井の軌跡が始まりました。
津田青楓洋画塾が解散した1933年、今井は、独立美術京都研究所の設立に参加します。研究所の画家仲間と活動し、シュルレアリスムの影響を受ける中で、今井の画風は徐々に幻想的なイメージへと変化していきました。1938年、第8回独立展に出品した《原生林》は、写生を重視する今井がシュルレアリスム的表現を模索する中でたどり着いた、一つの到達点であったと言えるでしょう。
しかしながら、1940年代に入り戦況が悪化する中で、今井の描く世界にも、戦時を生きることの現実が見え隠れするようになります。彼の戦後は、現実社会の幻想性を見つめることから始まりました。
本展では、京都を拠点に活動し続けた洋画家の一人、今井憲一の初期から晩年にいたる作品や関連資料を通して、彼の表現とその時代を振り返ります。