日本考古学の鼻祖 藤 貞幹展
2023.12.9(土) 〜 2024.2.4(日)
近世考古学の第一人者とも評される藤貞幹。その学問のスケールは非常に大きく、未だ正当な評価を獲得するほど理解されていないと言われています。実際、彼の代表作「集古図」に収録された歴史遺物は、天文・地理から度量、印、銭幣、服飾、銅器、布帛、輿輦、刀剣、玉器、石器、瓦器、文房器、碑銘、葬具、扁額等と広範囲におよびます。
本展では、彼に関する新資料をご紹介し、また考古学史研究に定評のある京都木曜クラブと共に、貞幹の事績を丁寧に読み解きます。
藤貞幹の代表作の一つ。文字研究の一環で文字瓦をとりあげている。
初公開。 30 歳代以前の貞幹が皇室史の相談を受け、対応すると回答している。 植物学者・伊藤圭介旧蔵。
裏松固禅の公家邸宅の研究成果だが、これも藤貞幹が助力した。 写真の東三条殿図の原図は貞幹が作成した。
藤原氏長者の家として代々継承された重要な邸宅・東三条殿を、日本庭園史研究の基盤を築いた森蘊が監修した模型。実は貞幹の東三条殿図を参照した。
720年成立とされる『日本書紀』は国が編纂した初の歴史書でいわば正史である。その正史に載らない年号(逸号)を正史と比較できるように藤貞幹は年表を作成した。
藤貞幹は古瓦譜を何度も改訂している。本書は最も初期の編纂時のもの。
初公開。 貞幹の『古瓦譜』を近代になって写した書。貞幹に従い、色釉の瓦は着色する。 写真は緑釉瓦を緑色に表現している。近代の『古瓦譜』需要を知る上で貴重。
藤貞幹の最大にして未完の著作物です。『好古小録』『好古日録』が文章中心なのに対し、『集古図』は絵図が中心です。貞幹『 集古図』は、大名で江戸幕府の老中も担った松平定信が編纂した『集古十種』に掲載品数では劣るものの、それ以上に広範囲な種類・品目を扱っています。大名の力でもってなした作を、貞幹一人で上回ってしまうほどで、まさに圧巻です。
北白川天神宮の黒鉾の銘を紹介。
右写真は銘の刻まれた茎部の拡大。「延喜八年三月十三日」の銘がある。
延喜八年は西暦908年。
初公開。 時宗の開祖・一遍上人の伝記を描いた絵巻から、貞幹の関心のある箇所を抜き出し写したもの。鎌倉時代の絵巻が描き出す当時の人々の衣装や道具、建築物の詳細にあったようだ。
初公開。 中国唐の大詩人・杜甫の2つの漢詩を藤貞幹が1788 年に書した作品。漢詩の素養がうかがわれる。