アンソロジー・フィルムアーカイブス――アメリカ実験映画の地平へ
2026.2.25(水) 〜 3.8(日)
アンソロジー・フィルムアーカイブス(以下アンソロジー)は、映像作家たちが中心となって設立したインディペンデントな組織として、“周縁の豊かさこそ文化を活気づける”という強い信念のもと、映画史において見落とされがちな個人映画や実験的な映像作品を軸に保存・研究・上映を行う、世界的に見ても非常にユニークなフィルムアーカイブです。
第二次世界大戦後の米国では、16mmカメラの普及やスーパー8、シングル8などの登場により、個人や小規模のインディペンデントによる映画制作が加速し、欧州の前衛映画の影響を受けながら、独自の実験的試みが繰り広げられました。特に1960年代のニューヨークでは、映像作家、詩人、音楽家、美術家など分野を越えた交流が活発化し、フリージャズ、ポップアートなどの様々な文化的潮流と共鳴しながら、アンダーグラウンド映画のムーブメントが形成されました。既成概念に縛られないラディカルな作品が次々と誕生したのです。
このような映画の重要性を誰よりも提唱し続けたのが、詩人で映像作家のジョナス・メカス(1922-2019)です。1949年、難民としてリトアニアから米国に渡ったメカスは、戦争で粉々になった希望を拾い集めるかのように、こうした作品を擁護する活動を仲間とともに展開しました。1955年に映画雑誌「フィルム・カルチャー」を創刊、1961年には作家団体による個人映画の配給組織として「フィルムメーカーズ・コーペラティブ」を始動。さらに、作品の保存・研究・上映を恒常的に行うことを目的としたフィルムアーカイブの設立に奔走します。そして1970年、メカス、ジェローム・ヒル、P・アダムス・シトニー、ペーター・クーベルカ、スタン・ブラッケージによってアンソロジーは創設されました。
本企画では、ビート・ジェネレーションとアンダーグラウンドを繋ぐ重要人物でありながら29歳で夭折したロン・ライスによる作品や、再評価が期待されるマージョリー・ケラーによる詩情溢れる作品など、復元によって蘇った作品だけでなく、アンソロジーで展開されている映画の形式や概念を批評的に問い直す先鋭的なプログラムを中心に、アメリカ実験映画、個人映画、インディペンデント映画20本(10プログラム)を上映します。
主催:国立映画アーカイブ、アンソロジー・フィルムアーカイブス、京都文化博物館



2月25日(水)
13:30〜18:30〜1972年(カラー・91分)監督・脚本:ロバート・ダウニー/撮影:ピーター・パウエル/美術:デイヴィッド・フォアマン/音楽:ジャック・ニッチェ/出演:アルバート・ヘンダーソン、マイケル・サリヴァン、ルアナ・アンダース

2月26日(木)
13:30〜18:30〜1976年(モノクロ・80分)監督・撮影:リジー・ボーデン/出演:ジョーン・ジョナス、バーバラ・クルーガー、アリエル・ボック、キャスリン・ビグロー
※各回、国立映画アーカイブ研究員解説あり:中西香南子(国立映画アーカイブ特定研究員)

2月27日(金)
13:30〜18:30〜1983年(カラー・85分)監督・脚本・製作・編集:リジー・ボーデン/脚本・撮影:エド・ボーズ/撮影:アル・サンタナ/音楽:ブラッズ、レッド・クレイオラ/出演:ハニー、アデル・ベルティ、ジーン・サターフィールド

2月28日(土)
13:30〜17:00〜1968年(カラー・75分)監督・製作・編集・出演:ウィリアム・グリーヴス/製作:マニュエル・メラメッド/撮影:テリー・フィルゲート、ステヴァン・ラーナー/出演:パトリシア・リー・ギルバート、ドン・フェローズ、ジョナサン・ゴードン
※各回、国立映画アーカイブ研究員解説あり:佐野亨(国立映画アーカイブ特定研究員)

3月1日(日)
13:30〜17:00〜1938年(カラー・7分)監督:オスカー・フィッシンガー
1947年(カラー・5分)監督:メアリ・エレン・ビュート

1963年(カラー・5分)監督:ロバート・ブリア

1962-64年(モノクロ・9分)監督:ラリー・ジョーダン
※上映後に、本プログラムをキュレーションした山村浩二氏(東京藝術大学教授、アニメーション作家)による講演の映像(約50分)を上映予定。
3月3日(火)
13:30〜18:30〜1960年(モノクロ・59分)監督・脚本・製作・編集:ロン・ライス/出演:テイラー・ミード

1960年(モノクロ・無声・3分)監督:ロン・ライス
1962年(モノクロ・無声・3分)監督:ロン・ライス
3月4日(水)
13:30〜18:30〜1969年(モノクロ/カラー・無声・122分)監督:ケン・ジェイコブス
※本作は激しい光の明滅を伴います。ご注意ください。
Courtesy of Electronic Arts Intermix (EAI), New York3月5日(木)
13:30〜18:30〜※本プログラムには、激しい光の明滅を伴う作品があります。ご注意ください。
2001年(カラー・10分)監督:ストム・ソゴー
2002年(カラー・16分)監督:ストム・ソゴー

2000年(モノクロ/カラー・16分)監督:ストム・ソゴー

2003年(カラー・18分)監督:ストム・ソゴー
2004年(カラー・9分)監督:ストム・ソゴー
2006年(カラー・10分)監督:ストム・ソゴー
3月6日(金)
13:30〜3月8日(日)
13:30〜1985年(カラー・150分)監督:ジョナス・メカス/出演:ジョージ・マチューナス、ジョン・レノン、オノ・ヨーコ、アンディ・ウォーホル、ケネス・アンガー、ケン・ジェイコブス、ハンス・リヒター、アンリ・ラングロワ、アレン・ギンズバーグ
©1986 Estate of Jonas Mekas, courtesy of The Film-Makers’ CooperativeNew American Cinema Group, Inc3月7日(土)
13:30〜17:00〜1966-67年(カラー・無声・64分)監督:スタン・ブラッケージ
※本作品では、戦争の光景を映し出した歴史的フッテージが使用されているため、遺体がはっきりと判る場面など、一部センシティブな描写が含まれております。