開催趣旨

 掛軸は、主に平面である絵画・書跡類に、様々な紙や染織品を取り付け、裏から紙で十分に補強して鑑賞出来るようにしたものです。見たいときは吊り下げて広げ、使わないときは丸めて箱に収める。薄い紙や絹といった脆弱な材料で作られた絵画・書跡類を保管し鑑賞するにあたって、掛軸は非常に合理的で便利な特徴を持っています。それはコンパクトで持ち運びができ、必要に応じて幾度も解体し、修理することが出来ます。戦乱や災害を経ても、我が国にこれほど多くの作品や資料が伝来する陰には、ひとえに掛軸という形に想いを込め、工夫を重ね繋いできた先人たちの営みがありました。
 また掛軸の装いは、書画の印象を決める最も重要な要素です。貴重な品々にふさわしい美しい、荘厳な装いを求め、各時代の人々は様々な材料を駆使して軸を飾り、また軸を掛ける空間、軸のたたずまいにも念入りに気を配りました。掛軸は単なる書画の枠ではなく、高い美意識に支えられた総合芸術であり、日本文化史の極めて魅力的な部分を作り上げています。本展示では、掛軸の仕立てに込められた先人たちの技術と美意識を広くご紹介します。歴史と風土が現代までつむぎ、残してきた掛軸の文化を、身近に感じて頂ければ幸いです。

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▲竹屋町織掛軸架鷹図
滋賀・正明寺蔵 江戸時代(17世紀)【後期展示】

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▲伝牧谿布袋図 京都国立博物館蔵【展示期間:1/31~2/12】


基本情報

会 期:
2016年12月17日(土)~2017年2月19日(日)
前期展示:2016年12月17日(土)~2017年1月15日(日)
後期展示:2017年1月17日(火)~2017年2月19日(日)
※その他期間限定展示あり
休館日:
毎週月曜日(祝日の場合は翌火曜日休館) ※12月28日~1月3日は休館
会 場:
京都文化博物館 2階総合展示室「京の至宝と文化」
開室時間:
10:00~19:30(入室は19:00まで)
入場料:
(京都文化博物館総合展示)
一般:500(400)円、大学生:400(320)円、高校生以下無料
*( )内は20名以上の団体料金
*上記料金で、2階総合展示と3階フィルムシアターがご覧いただけます。

京都大学総合博物館との共同開催

特別展「日本の表装 ―紙と絹の文化を支える」

会  期:
平成29年1月11日(水)~2月12日(日)
会  場:
京都大学総合博物館 本館2階第1企画展示室
開館時間:
9:30~16:30(入館は16時まで)※毎週月曜日・火曜日休館
入 館 料:
一般400円(300円) 高校・大学生300円(200円) 小中学生200円(100円)
※( )内は20名以上の団体料金

企 画:
日本の表装展 展示企画委員
岩﨑奈緒子(京都大学総合博物館館長)、岡泰央(国宝修理装潢師連盟理事)、中野慎之(京都府教育庁指導部文化財保護課技師)、橋本浩(国宝修理装潢師連盟連盟員)、森道彦(京都文化博物館学芸員)、山本記子(国宝修理装潢師連盟専務理事)、横内裕人(京都府立大学准教授)
※五十音順
主 催:
京都府、京都大学総合博物館、京都文化博物館、一般社団法人 国宝修理装潢師連盟
後 援:
京都府教育委員会、京都市教育委員会、公益財団法人京都古文化保存協会
協 力:
京都府教育庁指導部文化財保護課、京都府立大学文学部歴史学科

関連イベント

①シンポジウム「表装と日本文化」

日 時:
2016年12月18日(日)10:20~17:00
会 場:
京都文化博物館別館ホール(定員200名、先着順)
パネリスト:
板倉聖哲(東京大学東洋文化研究所)、岩﨑奈緒子(京都大学総合博物館)、門脇むつみ(美術史家)、高田智仁(大東文化大学人文科学研究所)、谷口耕生(奈良国立博物館)、中野慎之(京都府教育庁指導部文化財保護課)、森道彦(京都文化博物館)※五十音順
参加費:
無料※ただし、当日の総合展示入場券[半券可]が必要です。

*定員に達しましたので募集を締切らせていただきました。

②子ども教室「ミニ掛軸を作ろう!」

日 時:
平成29年1月29日(日)10:30〜12:30
会 場:
総合展示室2階作業室
対 象:
小学1~6年生(定員15名、先着順)
参加費:
無料※保護者の方が付き添いで入場される場合は、当日の総合展示の入場券が必要です。

掛け軸ってどんなもの?学芸員さんと一緒に展覧会を見て聞いて、学ぼう。紙で自分だけの掛け軸を作ってみよう。

*ホームページからのお申込みは締切らせていただきました。

③ギャラリートーク

日 時:
12月22日(木)18:00〜、1月29日(日)14:00〜、2月12日(日)14:00〜
※各日30分程度
会 場:
2階展示室内
参加費:
無料※事前申込み不要、当日の入場者に限ります。

④ぶんぱく京都講座「掛軸の歴史と文化をたどる」

「掛軸」は、現代生活ではもうあまり馴染みがないものかもしれません。たまに見ると言えば、旅館や茶室の床の間に、展覧会の展示ケース…。しかし普段は意識しませんが、よく似たものは意外に生活のあちこちに使われています。掛軸はいつ、どのように生まれてきたのか。掛軸の形と飾り方にこめられた、アジアと日本の悠久の歴史をご案内します。

日 時:
平成29年1月14日(土)10:30〜12:00
会 場:
3階フィルムシアター(定員170名、先着順)
講 師:
森道彦(当館学芸員)
参加費:
500円※ただし、総合展示入場券[半券可]が必要です。

※ホームページからのお申込みは締切らせていただきました。



春日権現
▲一の台局辞世和歌懐紙
京都・瑞泉寺蔵 江戸時代(17~18世紀)【後期展示】