開催趣旨
近年、世界各地で文化遺産のより良い保護・継承、そして活用を目指す動きが活発化しています。とりわけ考古学界では、昨年度京都で開催された世界考古学会議(WAC-8)で、現代社会と考古学・考古遺産の関係性向上を目指し様々な議題がとりあげられましたが、そこで新たなテーマとして注目を集めたのが「アートと考古学」です。いま、アーティストと考古学者のコラボレーションが新たな文化遺産の世界を生み出すと期待されています。当館ではこの期待に応えるべく昨年度「アートと考古学展」を開催しましたが、その中で好評をいただいた作品やそれにまつわる人々や物語を、さらに掘り下げていくことを企画しました。
本展覧会では、現代から少し時代をさかのぼり、近代京都の考古学者と画家、とくに日本考古学の父と呼ばれる濱田耕作と、京都そして関西の洋画界を牽引した太田喜二郎をとりあげます。それぞれの分野で重要な功績をあげた二人ですが、彼らが親交を深め共働でユニークな作品も生み出していたことはあまり知られていません。これらの作品は、両分野の重鎮の記録として、日本の歴史の一頁として、そしていま日本の「アートと考古学」草創期の取組事例として高い価値をもっています。本展覧会では、長らく公開の機会がなかった作品を含めた貴重な品々により、二人の事績を紹介します。
▲朝鮮絵巻 太田喜二郎・濱田耕作 大正13年(1924)
▲裸婦像 濱田耕作 大正8~12年頃(1919~1923)
▲木陰の少女 太田喜二郎 明治42年(1909)
基本情報
- 会 期:
- 2017(平成29)年6月24日(土)〜8月20日(日)
*月曜日休館、月曜日が祝日の場合開館、翌日休館。 - 休館日:
- 月曜日(7月24日は臨時開館)
- 会 場:
- 京都文化博物館 2階総合展示室「京の至宝と文化」
- 開室時間:
- 10:00〜19:30(入場は19:00まで)
- 入場料:
- 一般500円(400円)、大学生400円(320円)、高校生以下無料
*( )内は20名以上の団体料金
*上記料金で、2階総合展示と3階フィルムシアターがご覧いただけます - 主 催:
- 京都府、京都文化博物館
主な展示品(予定)
作品 | 制作者 | 制作年 |
---|---|---|
石舞台古墳発掘絵巻 | 太田喜二郎 | 昭和8年 |
朝鮮絵巻 | 太田喜二郎・濱田耕作 | 大正13年 |
黄不動拝観絵巻 | 太田喜二郎 | 昭和5年 |
木陰の少女 | 太田喜二郎 | 明治42年 |
老爺 | 太田喜二郎 | 大正3-5年 |
黄海海戦 | 太田喜二郎 | 昭和9年 |
仏画 | 太田喜二郎 | |
濱田青陵肖像画 | 太田喜二郎 | |
歴代天皇御陵図誌 | 濱田耕作 | 明治29年 |
旅の画帖 | 濱田耕作 | 明治37年 |
鷹図 | 濱田耕作 | 明治31年 |
嫩草山 | 濱田耕作 | 明治33年 |
ストックホルム王宮窓外所見 | 濱田耕作 | 昭和2年 |
裸婦像 | 濱田耕作 | 大正8~12年頃 |
短歌短冊 | 濱田耕作 | |
鼎図短歌色紙(複製) | 濱田耕作 | 昭和13年 |
ほか
関連イベント
(1)学芸員によるギャラリートーク
- 日 時:
- 7月7日(金)18:00〜、7月17日(月・祝)14:00〜、7月28日(金)18:00〜
- 会 場:
- 京都文化博物館2階展示室内
※事前申し込み不要。参加無料。ただし当日の入場者に限ります。
(2)ぶんぱく京都講座
草創期の考古学とアートのつながり 「京都の画家と考古学-太田喜二郎と濵田耕作-」展を題材に
- 日 時:
- 7月1日(土)13:30〜
※希望者向けに、15:30から展示室内にてギャラリートークを実施します。 - 会 場:
- 京都文化博物館別館2階講義室
- 講 師:
- 村野正景(当館学芸員)
- 参加費:
- 500円
※ただし、ギャラリートーク参加希望者は総合展示入場券(500円)が必要です。 - お申込方法:
- 要事前申込。京都文化博物館ホームページよりお申し込みください。