開催趣旨

 梥本一洋(1893~1952)は、近代京都で活躍した日本画家です。本年は、一洋の没後70年にあたります。これを機に、本展では京都府コレクションを中心とした作品、資料から一洋の画業を振り返ります。
 京都の染織図案を営む家に生まれた一洋は、京都市立美術工芸学校・京都市立絵画専門学校(現在の京都市立芸術大学)を卒業後、山元春挙に師事し、その画塾・早苗会で研鑽をつみました。文展、帝展を中心に活躍し、大和絵に学んだ優雅な人物画で知られるようになります。1931年頃からは同時代の婦人像を描いた作品を発表、また風景画へと展開します。師の春挙が没すると、同門の川村曼舟に師事して、早苗会の中心的な画家となりました。曼舟没後は、早苗会を解散し、新団体・耕人社を結成し、その中心となります。
 当館では2001年秋に特別展「梥本一洋展」を開催しており、本展は21年ぶりの展観となります。一洋の描き出す優美な日本画の世界をお楽しみください。

基本情報

会  期:
2022年6月4日(土)~7月31日(日)
休 館 日:
月曜日(祝日の場合は開館、翌日休館)
会  場:
2階総合展示室「京の至宝と文化」
開室時間:
10:00~19:30(入場は19:00まで)
※新型コロナウイルスの感染症の今後の状況により、予定を変更する場合がございますのでご了承ください。
入 場 料:
一般500円(400円)、大学生400円(320円)、高校生以下無料
※(  )内は20名以上の団体料金
※総合展示(2階)とフィルムシアター(3階)をご覧いただけます。
(フィルムシアターは催事により有料の場合があります)。
主  催:
京都府、京都文化博物館

主な展示作品

壬生狂言の楽屋
《壬生狂言の楽屋》1915年、第9回文展出品作、京都府蔵(京都文化博物館管理)

文展初入選作。文展では左隻だけが入選している。


女人高野
《女人高野》1923 年、大阪毎日新聞社主催 日本美術展出品作、京都府蔵(京都文化博物館管理)

作品はもともと三幅対で、失われた中幅には山が描かれていた。
それはおそらく、奈良・室生寺のある山だったと考えられる。


酒典童子
《酒典童子》1929 年、第 10 回帝展出品作、京都府立医科大学蔵

「伊吹山絵詞」と能の「大江山」の前半から制作のヒントを得、昼間は美男だが夜 になると鬼になるという姿を描いた。


髪
《髪》1931 年、第 12 回帝展出品作、個人蔵

一洋の妻・そのをモデルにして描いた美人画。1931 年から 33 年にかけての 一洋は、このような同時代風俗も描いた。


月下清韻
《月下清韻》1930~40 年代、京都府蔵(京都文化博物館管理)

一洋らしい大和絵に学んだ表現で、王朝人物、風景を描き、四季折々12か月の風趣を描いている。


湖畔晴日
《湖畔晴日》1942 年、早苗会試作展出品作、京都府蔵(京都文化博物館管理)

静かな漁村農家の後庭を描いたもの。前年の個展で伊東深水に風景を描くことを 勧められたためか、以後風景画を多く描くようになる。


関連イベント

学芸員によるギャラリートーク

日時: 6 月 17 日(金)、7 月 1 日(金)、7 月 15 日(金)

※午後 2 時から展示室内で行います。(30 分程度)
 事前申込み不要、当日の入場者に限ります。