EU Film Days 2019
欧州連合(EU)加盟国の在日大使館・文化機関が提供する作品を一堂に上映する、ユニークな映画祭で、上映される作品はヨーロッパの映画製作者の幅広い才能を披露するとともに、EUが重視する文化的多様性を、さまざまな表現で映し出しています。17年目となる本年、京都会場では21のEU加盟国から25作品を紹介します。
料金:一般500円、大学生400円、高校生以下無料
特設サイトはこちら(The English version of the site is below.)
https://eufilmdays.jp/
6月7日(金)13:30〜
チェコ『ヤン・パラフ』 Jan Palach
監督:ロベルト・セドラーチェク
チェコ/2018/124分/チェコ語、ロシア語(日本語・英語字幕)
2017©JAN-PALACH_CUDLIN
ヤン・パラフ。1969年に、ワルシャワ条約機構軍によるチェコスロヴァキア占領への抗議として、焼身自殺した学生である。青年の命を懸けた行動は、無気力になっていた人々を再び奮い立たせることとなった。今やチェコでは誰もが知っている人物である。本作では、心優しい息子であり、良き友人であり、思慮深く感受性の強い学生であったパラフが、抗議自殺に至るまでが描かれる。
6月7日(金)18:30〜、15日(土)17:00〜
ベルギー『デス・バレット』 Let the Corpses Tan
監督:エレーヌ・カテト、ブルーノ・フォルザーニ
ベルギー、フランス/2017/90分/フランス語(日本語字幕)
©Titled Pictures Limited 2017
ライノと、その仲間グロとアレックスは、装甲車を襲撃して250キロもの金塊を強奪することに成功する。そして、金塊の隠し場所と潜伏場所として、友人の画家のルースが滞在している人里離れた廃村に身を隠す。しかし、そこに思わぬ訪問者が現れて、事態は予期せぬ方向へ!? 地中海。青い海。照り付ける太陽。そして、250キロの金塊の行方は。ロカルノ、トロントの映画祭にも出品され、注目を集めた作品。
6月8日(土)13:30〜、11日(火)18:30〜
ラトビア『バルト・キングダム』 The Pagan King
監督:アイガルス・グラウバ
ラトビア/2018/110分/英語(日本語字幕)
13世紀、バルト海沿岸の小国ゼムガレで王位を継承した若者ナメイスが、国民を率いて十字軍と戦う。リアルな戦闘場面が見どころの歴史アクションで、ラトビア国内で大ヒットした。主人公ナメイスは、ラトビアの工芸品として著名な「ナメイス・リング」の起源ともされる。音楽と撮影はEUフィルムデーズ2017で上映された『OKI』と同じスタッフが担当。
6月8日(土)17:00〜、11日(火)13:30〜
駐日欧州連合代表部選出作品『ウェスタン』 Western
監督:ヴァレスカ・グリーゼバッハ
ドイツ、ブルガリア、オーストリア/2017/121分/ドイツ語、ブルガリア語、英語(日本語字幕)
ブルガリアの辺境にある小さな村に、水力発電所建設のためドイツ人作業員がやってくる。ドイツ人の中で唯一村人と積極的に関わろうとするマインハルトを中心に、緊張感と親しみの間を揺れ動く物語が丁寧に描き出される。「ベルリン派」の俊英グリーゼバッハ待望の新作。『フィルム・コメント』『サイト・アンド・サウンド』誌で年間ベストテンに選出された。
6月9日(日)13:30〜、12日(水)18:30〜
ルクセンブルク『スーパージャンプ・リターンズ』 Superchamp Returns
監督:フェリックス・コシュ
ルクセンブルク、ベルギー/2018/103分/ルクセンブルク語(日本語・英語字幕)
小国「リュクスブルク公国」を一大惨事から救うため、中年クライシス真只中の50代のお役人が立ち上がる。だが彼は、失われたスーパーパワーだけでなく、ギクシャクしている家族との絆も取り戻さなくてはいけなかった!原作は18万5千部超の売り上げを記録し、ルクセンブルク出版史上絶大な人気を誇るコミック本シリーズ『De Superjhemp(スーパージャンプ)』(ルシアン・チュガ&ロジェ・ライナー作)。
6月9日(日)17:00〜、12日(水)13:30〜
クロアチア『人生はトランペット』 Life is a Trumpet
監督:アントニオ・ヌイチ
クロアチア、スロヴェニア、セルビア、モンテネグロ、英国
/2015/92分/クロアチア語(日本語字幕)
フュージョン・バンドのトランペット奏者ブラが結婚。しかし、金銭をめぐって彼の一家と妻の一家の間にトラブルが発生する。首都ザグレブを舞台に、結婚式とクリスマス・イブという親戚一同が集まる2つの大きなイベントを通じて、家族の日常を見つめたハートウォーミングなコメディ。
6月13日(木)13:30〜、29日(土)17:00〜
フランス『ブラッディ・ミルク』 Bloody Milk
監督:ユベール・シャルエル
フランス/2017/90分/フランス語(日本語字幕)
酪農業を営むピエールは30歳。両親から受け継いだ農場と牛たち、獣医の妹と両親と共に暮らしている。ある日ピエールは、牛たちが病に感染していることに気づき、牛たちを助けるために、どんなことでもすると決意する。2017年のカンヌ国際映画祭批評家週間で特別上映。主演のスワン・アルローは『女の一生』(2016)などに出演し、現在人気上昇中。
6月13日(木)18:30〜、14日(金)13:30〜
オーストリア『キオスク』 The Tobacconist
監督:ニコラウス・ロイトナー
オーストリア、ドイツ/2018/113分/ドイツ語(日本語、英語字幕)
©Tobis Film_Petro Domenigg
1937年ウィーン。17歳のフランツは新聞やたばこを売る小さな店に見習いとしてやってくる。人柄のいい店主の下で働く日々の中で、フランツは初めて恋に落ちる。戸惑うフランツだが、幸運にも常連客の中に専門家がいた。82歳のジークムント・フロイトだ。しかし、ナチスの台頭がフランツと周囲の人々の人生を大きく翻弄していく。世界的ベストセラー(ローベルト・ゼーターラー著『キオスク』2017年、東宣出版刊)の待望の映画化で、2月に逝去した名優ブルーノ・ガンツがフロイト役で出演。
6月14日(金)18:30〜
ベルギー『撃たないで!』 Don’t Shoot
監督:ステイン・コーニンクス
ベルギー、オランダ/2018/139分/オランダ語、フランス語(日本語、英語字幕)
1985年、ベルギーのスーパーマーケットで起こった強盗事件で、アルバートの娘夫婦と孫娘が犠牲となり、孫のダヴィッドだけが生き残る。アルバートは犯人を裁判にかけるため、そしてダヴィッドに希望を取り戻させるため、その後25年以上も戦い続ける。アカデミー外国語映画賞にノミネートされた『神父ダーンス』から25年、実際の事件をもとにし、監督と名優ヤン・デクレールが再度コンビを組んだ意欲作。
6月15日(土)13:30〜、18日(火)18:30〜
ハンガリー『心と体と』 On body and soul
監督:イルディコー・エニェディ
ハンガリー/2017/116分/ハンガリー語(日本語字幕)
©INFORG – M&M FILM 2017
ブダペスト郊外の食肉処理場。代理職員として働くマーリアはコミュニケーションが苦手で職場になじめない。片手が不自由な上司のエンドレは彼女を気に掛けるが、うまく噛み合わず――。そんな不器用な2人が、同じ夢を見たことをきっかけに距離を縮めていく。孤独な男女の少し不思議で刺激的なラブストーリー。長編デビュー作『私の20世紀』(1989)のリバイバル公開も記憶に新しい、エニェディ監督の18年ぶりの長編作品。ベルリン国際映画祭金熊賞受賞。
6月16日(日)13:30〜、19日(水)18:30〜
イタリア『修道士は沈黙する』 The confessions
監督:ロベルト・アンドー
イタリア、フランス/2016/108分/イタリア語(日本語字幕)
『ローマに消えた男』に続いてアンドー監督が名優トニ・セルヴィッロを再び主演に迎えたミステリアスなドラマ。ダニエル・オートゥイユ、コニー・ニールセン、マリ=ジョゼ・クローズ、モーリッツ・ブライプトロイら国際色に富んだ豪華な面々が脇を固める。G8の財務相会合が行われているホテルで、ある朝、国際通貨基金の専務理事が亡くなっているのが発見される。その前夜に、修道士と密会していたことが明らかになるが、修道士はその内容について沈黙を守り続ける。
6月16日(日)17:00〜、19日(水)13:30〜
ドイツ『ロミー・シュナイダー 〜その光と影〜』 3 Days in Quiberon
監督:エミリ・アテフ
ドイツ、フランス、オーストリア/2018/115分/ドイツ語、フランス語(日本語字幕)
1981年、ブルターニュ地方のキブロンで静養中の世界的大女優ロミー・シュナイダーのもとに、ドイツから青年記者とカメラマンがやって来て、繊細なスター女優と野心的ジャーナリストの攻防が始まる。シュテルン誌に掲載された実際のインタビューと白黒のポートレート写真に基づいて製作された作品。自己顕示とメディア搾取、生への激しい渇望の狭間で揺れる映画スターが描かれる。ロミー役で熱演のマリー・ボイマーに加え、ドニ・ラヴァン、ヴィッキー・クリープスも登場。
6月18日(火)13:30〜、25日(火)18:30〜
ポーランド『イレブン・ミニッツ』 11 minutes
監督:イエジー・スコリモフスキ
ポーランド、アイルランド/2015/81分/ポーランド語、英語(日本語字幕)
©︎2015 SKOPIA FILM, ELEMENT PICTURES, HBO,ORANGE POLSKA S.A., TVP S.A., TUMULT
ワルシャワ、17時。女優が映画監督に会いにホテルに向かい、嫉妬深い夫が彼女を追う。同じ時刻に、3人からさほど離れていない場所で、ホットドッグ売り、尼僧たち、犬を連れた娘、バイク便の男、高層ビルの掃除人、救命医、老画家、窃盗犯――の「生活」が続いている。17時11分。全員が、なにものかに導かれるようにホテルの内と外に集まる。そのとき――。スコリモフスキの名人芸により、サスペンスと形而上学と詩が絶妙に融合する。
※18日のみトークあり〔ゲスト:石川慶(映画監督)〕
6月20日(木)13:30〜
エストニア『小さな同志』 The Little Comrade
監督:モーニカ・シーメッツ
エストニア/2018/100分/エストニア語(日本語・英語字幕)
スターリン体制下の1950年代初頭のエストニア。6歳の少女レーロの母親は学校の校長を務めていたが、ある日突然逮捕されてしまう。いい子にしていればすぐに戻ってくるよとの母の言葉に従おうと彼女は懸命に努力するが、次第に逮捕の理由を知り、世界を知っていく。女性監督シーメッツの初長篇劇映画作品。レーロの視線に寄り添う撮影は、EUフィルムデーズ2015上映『タンジェリン』(公開タイトルは『みかんの丘』)のレイン・コトヴ。
6月20日(木)18:30〜、28日(金)13:30〜
ブルガリア『無限のガーデン』 The Infinte Garden
監督:ガリン・ストエフ
ブルガリア/2017/90分/ブルガリア語(日本語・英語字幕)
キャリアや恋などすべてが思いどおりのように見えるフィリップは、両親の死の悲しみを引きずり続ける弟ヴィクトルの面倒を見ている。ヴィクトルの働く花屋の同僚エマに強く惹かれるが、ヴィクトルも彼女に恋をしていた。エマの作る「庭」が作品の重要なモチーフになっている。舞台演出家ガリン・ストエフの初監督作。
6月21日(金)13:30〜、22日(土)17:00〜
オランダ『エッシャー 無限の旅』 M.C. Escher – Journey to Infinity
監督:ロビン・ルッツ
オランダ/2018/80分/オランダ語、英語(日本語・英語字幕)
2018年に生誕120周年を迎え、「トロンプ・ルイユ(だまし絵)」で知られる“奇想の版画家”M・C・エッシャーの書簡や日記、講演録に基づき彼の生涯と作品を紹介するドキュメンタリー。インスピレーションを求めてイタリアやスイス、スペインなどを旅するエッシャーを追いかけつつ、彼の2人の息子による証言なども取り入れる。監督はドキュメンタリー作家としてこれまでに数々の賞を受賞している。
6月21日(金)18:30〜、25日(火)13:30〜
スロヴェニア『イヴァン』 Ivan
監督:ヤネズ・ブルゲル
スロヴェニア、クロアチア/2017/95分/スロヴェニア語(日本語字幕)
マラは妻帯者のロックとの間に子供をもうけイヴァンと名付けるが、犯罪や暴力に直面し、愛するロックとイヴァンのどちらを選ぶのかという選択を迫られる。スロヴェニア独立後の社会的及び政治的風潮の変化と、男性社会の中での女性の立場が描かれる。
6月22日(土)13:30〜
アイルランド『クイーン・オブ・アイルランド』 The Queen of Ireland
監督:コナー・ホーガン
アイルランド/2015/86分/英語(日本語字幕)
アイルランドで知らない人はいない国民的ドラァグクイーン“パンティ・ブリス”の激動の半生を追ったドキュメンタリー。同性愛が犯罪とされていた時代にアイルランドの小さな町で育った少年ローリー・オニールは、日本に渡りドラァグクイーンとしてブレイク。やがてHIV陽性の診断を受けながらも精力的にチャリティや権利運動に取り組み、2015年の同性婚の合法化を問う世界初の国民投票の際にはゲイ・コミュニティの代表としてキャンペーンの先頭に立つ―。
6月23日(日)13:30〜、26日(水)18:30〜
ルーマニア『野生のルーマニア』 Untamed Romania
監督:トマス・バルトン=ハンフレイス
ルーマニア、英国/2018/90分/ルーマニア語(日本語字幕)
都会の喧騒の向こうには素晴らしい野生の世界がある。人の目から離れているこの世界は 豪華さ、優美さ、どう猛性と面白みに満ちている。「大ルーマニア」成立100年を記念して製作された本ドキュメンタリーでは、ルーマニアのカルパチア山脈、ドナウ川デルタ、トランシルヴァニア地方の壮大な自然の奥地を旅し、その生物多様性を探求する。
6月23日(日)17:00〜、26日(水)13:30〜
リトアニア『古代の森』 The Ancient Woods
監督:ミンダウガス・スルヴィラ
リトアニア、ドイツ、エストニア/2017/83分/台詞なし
リトアニアに今も残る数少ない原生林を撮った、詩的で少々風変わりなドキュメンタリー。森の藪からオオカミの巣穴、水面下に眠る森、そして人の住む森の端まで、豊かでリアルな森の音と映像が、ナレーションを介することなく観客をエンドレスな旅に誘う。監督は本作を撮るために、写真と映画の経験を積み、大学で生物学を修めるなど、18年かけて準備した渾身の一作。オリジナルの撮影機器を用いた独特のカメラアングルやショットも特徴的。
6月27日(木)13:30〜、30日(日)17:00〜 *3作品連続上映:合計59分
ポルトガル
『ウォーターパーク』 Waterpark
監督:アナ・モレイラ
ポルトガル/2018/17分
『恐怖の設置』 The Fear Installation
監督:リカルド・レイテ
ポルトガル/2016/15分
『いかにしてフェルナンド・ペソーアはポルトガルを救ったか』 How Fernando Pessoa Saved Portugal
監督: ウジェーヌ・グリーン
ポルトガル、フランス、ベルギー/2018/27分
© Noodles Production O Som e a Furia Les Films du Fleuve
詩人ペソーアが考案したコカ・コーラの宣伝文句が検閲にあい、以降約50年間、ポルトガルではコーラの輸入が禁止されたという史実をもとにした『いかにしてフェルナンド・ペソーアはポルトガルを救ったか』、日ポ合作映画『ポルトの恋人たち』(舩橋淳監督)に主演したアナ・モレイラの監督デビュー作『ウォーターパーク』、第1回ヨーロッパ文芸フェスティバル(2017)で登壇した作家ルイ・ズィンク原作の『恐怖の設置』の短編3作から観るポルトガルの「今」。
※すべてポルトガル語(日本語、英語字幕)
6月27日(木)18:30〜、29日(土)13:30〜
スペイン『さようならが言えなくて』 Can’t Say Goodbye
監督:リノ・エスカレーラ
スペイン/2016/97分/スペイン語(日本語字幕)
故郷であるスペイン南部の村から、父親が病気だと知らされたカーラは、妹ブランカの反対を押し切り、治療のために父親をバルセロナに連れて行くことを決意する。病と死が迫る中で互いの失われた時間を取り戻すべくスペインを縦断する父と娘。アルモドバル作品にも出演しているナタリー・ポサ、ロラ・ドゥエニャスをはじめ、父娘3人を演じる俳優たちが、切り詰められた台詞から見事に関係性を立ち上げる。
6月28日(金)18:30〜、30日(日)13:30〜
スウェーデン『いつも心はジャイアント』 The Giant
監督:ヨハネス・ニホーム
スウェーデン、デンマーク/2016/90分/スウェーデン語(日本語字幕)
リカルドは頭骨が変形する難病を患い、施設で暮らしている。父はなく、母親も精神を病み、別の施設で過ごしている。リカルドは、辛い日々のなか、自らを巨人化した不思議な世界を空想するようになっていた。そんな人生が、ペタンクという球技に出会い一変する。練習を通じて、たくさんの仲間を得た彼は、北欧選手権に出場することを決意する。優勝できれば、きっと母親に元気を与え、いつか一緒に暮らせると信じて―。