開催趣旨

 ものを保存し、傷んだものを修理することは、我々の社会にとって大きな意味をもつ営みです。大切な思い出の品、重要な書類や記録、高価な美術品…過去の貴重なものが現代に伝わる過程には、それを何らかの形で引き継ぎたいという強い思いや願いを持った人々が関わっています。移り変わる時代と社会の中で、何を、どのように残していくか。古代から連綿となされてきた保存と修理の歩みは、将来に残すもの、失うものを時々刻々と選択してきた人々の足跡であり、歴史という大きな存在と向き合った人々の生の姿や声を伝えてくれます。
 過去の品々は時間による劣化や風化、数多の天災や戦災にさらされてきました。危機にさらされたうち一部のものだけが、時代や地域ごとの経済や社会のなか、時に過酷な制約を越え、保存され修理が施されてきたのです。さらに保存と修理に不可欠な、専門家の高度な知見や繊細な技術、けして安くない費用─―それらを実現するために誰に、何が出来たのか─―古の保存や修理事業には、傷ついた品々に向き合った人々の価値観が隠れています。それを保ち再生させるために要した人と人の重要なつながりは、まさしく当時の社会の縮図ですが、一方でいま現在もさまざまな地域で試みられている文化財の保護と何ら変わらぬ営みでもあります。
 本展示では、関西を中心に育まれてきた、保存や修理の様々なあり方と取り組みについて御紹介します。人々はかつて何を、どのように残してきたのか。そしてこれから我々は、何を残していくのか。大切な歴史を今に伝えてきた営みを、少しでも身近に感じて頂ければ幸いです。

車図巻 江戸時代 京都府蔵(京都文化博物館管理)
▲車図巻 江戸時代 京都府蔵(京都文化博物館管理)

基本情報

会 期:
2018(平成30)年1月5日(金)〜3月4日(日)
※会期中、展示替あり
休館日:
月曜日(祝日の場合は開館、翌日休館)
会 場:
京都文化博物館 2階総合展示室「京の至宝と文化」
開室時間:
10:00~19:30(入室は19:00まで)
入場料:
一般500円(400円)、大学生400円(320円)、高校生以下無料
*( )内は20名以上の団体料金
*上記料金で、総合展示と3階フィルムシアターがご覧いただけます
主 催:
京都府、京都文化博物館
協 力:
京都府教育庁文化財保護課、京都府立大学文学部歴史学科、一般社団法人 国宝修理装潢師連盟

狩野永納落款 山水猿猴図屏風旧下張 江戸時代  個人蔵
▲狩野永納落款 山水猿猴図屏風旧下張 江戸時代 個人蔵

関連イベント

①ギャラリートーク

日 時:
1月21日(日)15:30〜、2月11日(日・祝)13:00〜、
2月25日(日)13:00〜、3月3日(土)13:00〜、各日40分程度
会 場:
2階展示室内

※当館学芸員および京都府立大学文学部 歴史学科の学生がトークを行います
※事前申し込み不要、参加費無料(ただし、当日の入場者に限ります)

②国際京都学シンポジウム「歴史のなかの保存と修理」

日 時:
3月4日(日)10:30〜17:00頃まで
パネリスト:
皿井 舞(東京国立博物館)、竹浪 遠(京都市立芸術大学)、
中野 慎之(京都府教育庁文化財保護課)、古川 攝一(大和文華館)、
森 道彦(当館学芸員)、横内 裕人(京都府立大学)
※五十音順
会 場:
別館ホール(定員180名)

※要申込み、参加費無料(ただし、総合展示室入場券が必要です)

③連続講座「文化財修理の最前線─絵画と古文書の修理現場から」

第1回 掛軸の修理
日 時:
2月4日(日)10:15~12:00
講 師:
岡 岩太郎(一般社団法人 国宝修理装潢師連盟)

第2回 障壁画の修理
日 時:
2月11日(日・祝)10:15~12:00
講 師:
宇都宮 正紀(一般社団法人 国宝修理装潢師連盟)

第3回 古文書の修理
日 時:
2月18日(日)10:15~12:00
講 師:
橋本 浩(一般社団法人 国宝修理装潢師連盟)

第4回 文化財修理の現在
日 時:
2月25日(日)10:15~12:00
講 師:
大菅 直(一般社団法人 国宝修理装潢師連盟)

※各回会場は本館3階フィルムシアター(定員150名)

※要申込み、参加費無料(ただし、総合展示室入場券が必要です)

④ぶんぱく京都講座(2)「日本の修理文化」

日 時:
1月21日(日)
【講  座】13:30~15:00
【特別解説】15:30~16:00(希望者向け)
講 師:
森 道彦(当館学芸員)
会 場:
別館2階講義室(定員40名)
※特別解説は総合展示室内で行います。
参加費:
500円(ただし、特別解説参加希望者は総合展示入場券が必要)