音曲にゆかりある華やかな装飾に彩られた山

 南観音山を出す百足屋町(中京区新町通錦小路上ル)は、京都の商いの中心地として江戸時代には豪商が軒を連ねており、南観音山には贅を尽くした豪華な装飾が施されてきました。懸装品等には著名な絵師が下絵を手掛け、また中東など海外から渡来したとされる貴重な品々も伝来しています。美しい装飾品と華やかな祇園囃子の音色で、南観音山は山鉾巡行の列を彩ってきたのです。
 南観音山は別名を「下り観音山」とも呼ばれ、江戸時代には北観音山と隔年交代で祇園祭の山鉾巡行に参加していました。南観音山の本尊は病気の苦しみから人びとを救済する楊柳観音で、南観音山はその象徴である柳の枝を垂らして巡行に臨みます。また、巡行前夜に南観音山では、本尊の楊柳観音像を蓮台に載せて町内を駆け回る「あばれ観音」という行事がおこなわれます。そのほか南観音山には、脇侍として善財童子が祀られています。
 南観音山を飾る懸装品には躍動感あふれる意匠をもつ品が数多くあります。中でも塩川文麟が下絵を手掛けたという緋羅紗地四神文様刺繍の天水引や、土佐光孚による下絵を元にした金地舞楽図刺繍の下水引などは出色の品です。そのほか、幸野楳嶺らによる着色と伝える麒麟や仙女をかたどった破風飾や、南観音山の四角を飾る木彫漆箔の四君子薬玉角飾など、数々の名品によって、南観音山は彩られています。
 本展覧会では、南観音山の所有する華やかな名宝の数々を紹介し、その素晴らしさをご堪能いただきます。そして祇園祭の歴史や文化の奥深さの一端に触れていただければ幸いです。

天水引 緋羅紗地四神文様刺繍 東白虎 安政五年 塩川文麟下絵
▲天水引 緋羅紗地四神文様刺繍 白虎 安政5年 塩川文麟下絵

天水引 緋羅紗地四神文様刺繍 西青龍 安政五年 塩川文麟下絵
▲天水引 緋羅紗地四神文様刺繍 青龍 安政5年 塩川文麟下絵

下水引 金地舞楽図刺繍 東   文政元年6月吉日 画工土佐光 縫師近江屋藤二郎
▲下水引 金地舞楽図刺繍 右 文政元年 土佐光孚下絵

下水引 金地舞楽図刺繍 左   文政元年6月吉日 画工土佐光 縫師近江屋藤二郎jpg
▲下水引 金地舞楽図刺繍 左 文政元年 土佐光孚下絵

木彫漆箔四君子文薬玉角飾 明治24年 
▲木彫漆箔四君子文薬玉角飾 明治24年

基本情報

会 期:
平成28年8月6日(土)〜10月23日(日)※会期中展示替えがあります。
○前期展示 平成28年8月6日(土)〜9月11日(日)
○後期展示 平成28年9月14日(水)〜10月23日(日)
休館日:
毎週月曜日(祝日の場合は翌日)
○但し平成28年9月13日(火)は展示替えのため休室します。
開館時間:
午前10時〜午後7時30分(入室は閉室の30分前まで)
会 場:
京都文化博物館 2階総合展示室 京のまつり
協 力:
公益財団法人南観音山保存会、公益財団法人祇園祭山鉾連合会


出品資料一覧

「祇園祭 − 南観音山の名宝−」展 出品資料一覧【PDF 70KB】

資料名時代指定等展示期間
前懸 中東連花葉文様 金銀糸入り ポロネーズ 絨毯
17世紀中期重要有形民俗文化財前期
後懸 斜め葉格子草花文様 インド絨毯18世紀前期重要有形民俗文化財後期
見送 茶地日輪鳳凰額雲龍図 綴織文政3年(1820)重要有形民俗文化財前期
見送 龍王渡海図 綴織 加山又造原画昭和62年(1987)重要有形民俗文化財後期
天水引 緋羅紗地四神文様 刺繍 塩川文麟下絵安政5年(1858)重要有形民俗文化財後期
下水引 金地舞楽図 刺繍 土佐光孚下絵文政元年(1818)重要有形民俗文化財前期
下水引 飛天奏楽図 加山又造原画平成12年(2000)重要有形民俗文化財通期
破風飾 麒麟・仙女明治21年(1888)重要有形民俗文化財通期
木彫漆箔四君子文薬玉角飾 吉田雪嶺作明治24年(1891)重要有形民俗文化財通期
龍の丸文見送裾金具重要有形民俗文化財前期
尾長鳥(旧)重要有形民俗文化財前期
金幣 朱房金具台付き明治41年(1908)重要有形民俗文化財後期
祇園牛頭天王神号通期
囃子方楽器衣裳一式通期