祇園祭で最初に稚児人形を搭載した鉾

函谷鉾は、京都市下京区四条通烏丸西入の函谷鉾町から山鉾巡行に参加する鉾です。鉾の名前は、中国の斉の国(紀元前300~400年)の宰相・孟嘗君が函谷関を突破し難を逃れたという故事に由来します。
函谷鉾は、天明8年(1788)の大火で被災し、その後50年間巡行に参加できませんでしたが、天保10年(1839)に復活を遂げます。その時、復興した函谷鉾は生き稚児の代わりに稚児人形「嘉多丸」を戴いて巡行をしたのです。これは長い祇園祭の歴史のなかで初めての事でした。
また函谷鉾には、16世紀中期のベルギーで織られ重要文化財となっている前掛飾毛綴(『旧約聖書』「イサクに水を供するリベカ」より)をはじめ、17世紀に作られた「中東連花葉文様」ラホール絨毯の前掛や、中国大陸や朝鮮半島で織られた絨毯などを継いで仕立てた胴掛など、舶来の貴重な懸装品が多数。
函谷鉾は、多くの苦難や変化を乗り越えて今日まで受け継がれてきました。今回の展覧会を通して、函谷鉾をはじめとする祇園祭の魅力をどうぞご堪能下さい。

前懸 旧約聖書イサクに水を供するリべカ 毛綴織 重文
▲前掛 飾毛綴『旧約聖書』
「イサクに水を供するリべカ」より 重文

基本情報

会  期:
2019年4月6日(土)〜年6月16日(日)
前期展示 2019年4月6日(土)〜5月12日(日)
後期展示 2019年5月15日(水)〜2019年6月16日(日)
休 館 日:
毎週月曜日(祝日の場合は開館、翌日休館)
但し5月14日(火)は展示替えのため休室します
※4月29日(月)、30日(火)は休まず開室します。
会 場:
京都文化博物館 2階総合展示室 京のまつり
開館時間:
10:00~19:30(入室は19:00まで)
入場料:
一般500円(400円)、大学生400円(320円)、高校生以下無料
*( )内は20名以上の団体料金
*上記料金で、3階フィルムシアターもご覧いただけます。
主 催:
京都府、京都文化博物館
協 力:
公益財団法人函谷鉾保存会、公益財団法人祇園祭山鉾連合会、一般財団法人西陣織物館

胴掛(北・三枚の右)玉取獅子図 アラビア文字額 中国近辺絨毯
胴掛(北・三枚の左)玉取獅子図 
アラビア文字額 中国近辺絨毯

胴掛(北・三枚の中)中東連花葉文様インド絨毯
胴掛(北・三枚の中)
中東連花葉文様インド絨毯


胴掛(北・三枚の左)虎と梅樹図 斜め格子額 中国近辺絨毯
胴掛(北・三枚の右)虎と梅樹図 
斜め格子額 中国近辺絨毯

掛軸「祇園牛頭天王」 一条忠香筆
掛軸「祇園牛頭天王」 一條忠香筆


函谷鉾と稚児人形「嘉多丸」

稚児人形

天明8年(1788)に京都を襲った大火で、函谷鉾は部材などの大部分を焼失し、町内も疲弊してしまいました。しかし、天保9年(1838)に御公儀から、来年の祇園祭には必ず鉾を出すようにとの指示を受け、函谷鉾再建への取り組みが始まります。寄町など周辺にも資金協力を仰ぎ、まず白木の鉾が復興しましたが、稚児を戴く算段までは整いませんでした。

この実情を公儀に届けたところ、稚児を人形にしても良いとの返答を受け、函谷鉾町では稚児人形の制作に着手します。まず、かつて町内に住んでいた仏師の七条左京の縁をたどって制作を依頼し、また人形のモデルを探すべく、五摂家のひとつ一條家へ顛末を言上、これを聞いた一條家の当主忠香卿から「我が長男の姿を写するに苦しからず」と御意を賜り、長男の一條実良卿の御姿を写し、さらに忠香卿からは稚児人形へ「嘉多丸」との御命名を賜りました。

こうして天保10年、祇園祭史上初となる稚児人形嘉多丸を乗せた函谷鉾は、実に半世紀ぶりに山鉾巡行への復帰を果たしたのです。




出品リスト

資料名員数時代指定等展示期間
前掛 飾毛綴(『旧約聖書』「イサクに水を供するリベカ」より)1枚16世紀中頃重要文化財前期
前掛 飾毛綴(『旧約聖書』「イサクに水を供するリベカ」より)1枚平成18年(2006)復元新調重要有形民俗文化財後期
前掛 中東連花葉文様ラホール絨毯1枚17世紀前半後期
見送 金剛界礼懺文 軸装1枚江戸時代後期前期
胴掛(南・三枚の右)玉取親子獅子図朝鮮毛綴1枚17世紀前半後期
胴掛(南・三枚の中)蓬莱山四蝶図朝鮮毛綴1枚19世紀初頭後期
胴掛(南・三枚の左)鳳凰と虎と鵲に牡丹の図朝鮮毛綴1枚17世紀前半後期
胴掛(北・三枚の右)玉取獅子図 アラビア文字額 中国近辺絨毯1枚17世紀初頭前期
胴掛(北・三枚の中)中東連花葉文様インド絨毯1枚18世紀前半前期
胴掛(北・三枚の左)虎と梅樹図 斜め格子額 中国近辺絨毯1枚17世紀初頭前期
後掛 八ツ星メダリオン草花文様 インド絨毯1枚17世紀後半後期
稚児人形「嘉多丸」 仏師七条左京康朝作1体天保10年(1839)重要有形民俗文化財前期
稚児人形天冠1台大正7年(1918)重要有形民俗文化財前期
稚児人形装束 狩衣・小袖・差貫一式平成19年(2007)重要有形民俗文化財前期
稚児人形持物 羯鼓・中啓一揃天保10年(1839)重要有形民俗文化財前期
稚児人形天冠 (西陣織物館蔵)1台天保10年(1839)後期
稚児人形衣裳 狩衣 (西陣織物館蔵)1具天保10年(1839)後期
稚児人形衣裳 狩衣 (西陣織物館蔵)1具大正7年(1918)後期
軒裏絵「鶏鴉図」 今尾景年筆4枚明治33年(1900)重要有形民俗文化財前期
関の雄雌鶏2点 天保10年(1839)重要有形民俗文化財前期
破風板飾 八双金物金銅透彫鳳凰6点明治17〜18年(1884〜85)重要有形民俗文化財後期
破風飾金具 金色塗菊花丸彫 拝懸魚の鰭2点江戸時代後期重要有形民俗文化財後期
獅子口の鰭 金箔置巻雲形彫の鰭2点明治18年(1885)重要有形民俗文化財後期
破風 金色塗三ツ花懸魚1点嘉永元年(1848)重要有形民俗文化財後期
鉾頭 月形 白銅銀鍍金1点天保10年(1839)重要有形民俗文化財前期
妻板飾 「林和靖」「鶴飼童子」「波に亀」「牡丹」 4点嘉永2年(1849)重要有形民俗文化財後期
房掛 大形源氏蝶 極彩色金箔置 木彫4点 文久元年(1861)重要有形民俗文化財前期
雲麒麟座花 宣徳香爐1台明治26年(1893)前期
宣徳花瓶 金菊花1対昭和32年(1957)前期
掛軸「祇園牛頭天王」一條忠香筆1点天保9年(1838)通期
「風光帖」1冊文化2年(1805)後期
「町中一統連印申堅書」1通天保9年(1838)前期
「口上書」1通天保10年(1839)前期
「木偶御稚児之由来」1通弘化3年(1846)後期

*出品する資料は、No.16、17、18を除き、全て公益財団法人函谷鉾保存会の所蔵品です。
*出品する資料のうち、No.16、17、18は一般財団法人西陣織物館の所蔵品です。
*前期展示 2019年4月6日(土)〜5月12日(日)/後期展示 2019年5月15日(水)〜6月16日(日)
*都合により展示資料を変更する場合があります。