勇壮な場面演出と共に、華麗さをあわせ持つ山

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▲胴懸 エジプト風景図(イギリス織絨毯) 江戸時代後期

 祇園祭には、歴史物語の場面を再現した意匠を持つ山が数多く出場しますが、中でも浄妙山は、『平家物語』の中の「橋合戦」の様相をあらわした特徴的な山です。宇治橋の上で奮戦する浄妙坊(じょうみょうぼう)の頭上を一来法師(いちらいほうし)が飛び越える様子が躍動感あふれる御神体人形で表現されており、山鉾巡行においても人気を博しています。
 また、浄妙山を彩る懸装品には、祇園祭の歴史を反映して時代ごとの特徴ある品々が伝え残されています。天鵞絨(びろーど)織が用いられた胴懸「琴棋書画図」をはじめ、胴懸「エジプト風景図」のようなイギリス製のタペストリーを懸装品としたもの、そして独特の織りの技術によって製作された「雲龍波濤図」の見送などの名品を有し、祇園祭の魅力をさらに高めています。
 浄妙山には、勇壮ないくさ物語の世界を表現する御神体人形による演出と共に、長い歴史の中でその時々の流行や新たな技術を元に製作された華麗な装飾品の数々が受け継がれています。今回の展示を通じて浄妙山の歴史や文化の魅力に触れ、また祇園祭の奥深さを感じていただければ幸いです。

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▲宇治川合戦図屏風(左隻) 明治44年 鈴木松年画

『平家物語』の「橋合戦」と浄妙山

 浄妙山の意匠は、『平家物語』の一節「橋合戦」に取材した勇壮なものです。源平合戦の時代、後白河法皇の第三皇子以仁王(もちひとおう:1151-80)による平家追討の令旨を受けて立ち上がった源頼政(みなもとのよりまさ:1104-80)が、宇治平等院に立て籠もり平家の大軍を迎え撃つなかで行われたのが宇治橋をめぐる攻防戦です。橋の両岸から矢の射掛け合いがなされる中、源氏方から三井寺の浄妙坊(じょうみょうぼう)が進み出て、2万8千の平家軍を相手に宇治橋をはさんで奮戦します。しかし多勢に無勢、矢も尽き太刀も折れ、腰刀だけとなっても戦い続けているところに、同じ源氏方の一来法師(いちらいほうし)が加勢に来ます。一来法師は「悪(あ)しゅう候(そうろう)」と言うと浄妙坊の頭上を飛び越えて平家軍に躍り掛かるのです。
 浄妙山の御神体人形は浄妙坊と一来法師で、何本もの矢が突き立った橋の上で戦う浄妙坊と、その頭に手をかけて飛び越えんとする一来法師の様子が、迫力ある姿であらわされています。浄妙山は『平家物語』の一来法師の名台詞をとって「悪しゅう候山」とも呼ばれました。

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▲胴懸 琴棋書画図(天鵞絨織) 寛政9年

基本情報

平成26年度 2階総合展示「京のまつり」
祇園祭-浄妙山の名宝-
会期

平成26年10月23日(木)~平成27年1月12日(月・祝)
前期展示:10月23日(木)~11月30日(日)
後期展示:12月3日(水)~平成27年1月12日(月・祝)

会場

京都文化博物館 2階総合展示室「京のまつり」

開室時間

午前10時から午後7時30分まで(入室は閉室の30分前まで)
○12月2日(火)は展示替えのため休室。
○12月28日(日)から1月3日(土)までは年末年始のため休館

主催

京都府、京都文化博物館

協力

公益財団法人浄妙山保存会/公益財団法人祇園祭山鉾連合会

入場料

一般500円、大学生400円、高校生以下無料
*上記料金で、2・3階総合展示・3階フィルムシアターもご覧いただけます。

主な展示品

■胴懸「琴棋書画図」(ビロード織)寛政9年(1797)重要有形民俗文化財
【前期展示】
■胴懸「エジプト風景図」(イギリス織絨毯)江戸時代後期重要有形民俗文化財
【前期展示】
■宇治川合戦図屏風(鈴木松年画)明治44年(1911)【後期展示】