日本古来の神話を題材にした意匠をもつ山

 「国産み」と「天の岩戸」は、共に我が国古来の神話としてよく知られた物語ですが、その二つの神話を主題にした意匠を有しているのが岩戸山です。御神体として搭載されているのは天の岩戸の物語の主人公である天照大神あまてらすおおみかみ手力男命たぢからおのみことの人形で、また岩戸山の屋根の上には、国産みの物語で主役となる伊弉諾尊いざなぎのみことの御神体人形が居られるという興味深い様相を見せています。
 応仁の乱より以前から祇園祭の巡行に参加していた岩戸山は、江戸時代に鉾の形を模した大屋根をつけたとされ、そのため真木ではなく真松が立てられています。そして岩戸山を飾る装飾には、中国や中東から渡来した懸装品のほか、幕末維新の時代に活躍した四条派の絵師今尾景年が手掛けた天井画など、時代を超えた数々の名品が伝えられています。
 今回の展覧会を機会に、岩戸山の持つ貴重な品々に接しその素晴らしさご堪能いただきますと共に、祇園祭の歴史や文化の奥深さの一端に触れていただければ幸いです。

軒裏絵(東前)金地四季草花図 今尾景年筆 大正7年
▲軒裏絵(東前)金地四季草花図 今尾景年筆 大正7年

▲軒裏絵(東中)金地四季草花図 今尾景年筆 大正7年
▲軒裏絵(東中)金地四季草花図 今尾景年筆 大正7年

軒裏絵(東後)金地四季草花図 今尾景年筆 大正7年
▲軒裏絵(東後)金地四季草花図 今尾景年筆 大正7年

軒裏絵(西前)金地四季草花図 今尾景年筆 大正7年
▲軒裏絵(西前)金地四季草花図 今尾景年筆 大正7年

軒裏絵(西中)金地四季草花図 今尾景年筆 大正7年
▲軒裏絵(西中)金地四季草花図 今尾景年筆 大正7年

軒裏絵(西後)金地四季草花図 今尾景年筆 大正7年
▲軒裏絵(西後)金地四季草花図 今尾景年筆 大正7年

祇園祭・岩戸山の美

 岩戸山の正面を飾る前懸は17世紀後半頃に中国の近辺で製織された玉取り獅子図に八角飾り連文額文様の絨毯で、左右の胴懸には変わり斜め格子花文様で藍地と黄地のいずれも18世紀初頭にインドで織られた絨毯が飾られます。また見送には日月龍額唐子嬉遊図の刺繍が施された品が伝わります。そのほか金地鳳凰瑞華彩雲岩に波文様の刺繍が施された下水引や、緋羅紗地宝相華文様の刺繍の二番水引、紺金地縞雲巴木瓜文様の綴織の三番水引などが目を引きます。
 そして、岩戸山の大屋根の軒裏には、幕末から近代の京都で活躍した絵師の今尾景年いまおけいねん(1845―1924)が最晩年に手掛けた力作「金地四季草花図」を見ることができます。景年は切妻屋根の裏板にも絵筆を振るう予定でしたが大正13年にこの世を去り、その後、弟子の中島華鳳がその仕事を受け継いで昭和6年(1931)に「鶺鴒図」を完成させています。そのほかにも岩戸山には、前後の大屋根の妻飾にそれぞれ素戔嗚尊と八岐大蛇の彫刻が施され、見る者を魅了しています。

胴懸 藍地連花額変わり斜め格子花文様 インド絨毯
▲胴懸 藍地連花額変わり斜め格子花文様 インド絨毯

下水引 金地鳳凰瑞華彩雲岩に波文様刺繍
▲下水引 金地鳳凰瑞華彩雲岩に波文様刺繍

二番三番水引 緋羅紗地宝相華文様刺繍
▲二番水引 緋羅紗地宝相華文様 刺繍/三番水引 紺金地縞雲巴木瓜文様 綴織

基本情報

祇園祭-岩戸山の名宝-
会 期:
2017年1月21日(土)〜2017年4月2日(日)*会期中展示替えがあります。
前期展示 2017年1月21日(土)〜2月26日(日)
後期展示 2017年3月1日(祝・水)〜4月2日(日)
休館日:
毎週月曜日(祝日の場合は翌日)
※但し2017年2月28日(火)は展示替えのため休室します
開館時間:
10:00~19:30(入室は19:00まで)
会 場:
京都文化博物館 2階総合展示室 京のまつり
主 催:
京都府、京都文化博物館
協 力:
公益財団法人岩戸山保存会、公益財団法人祇園祭山鉾連合会